大人たちは「子どもの言うことを何でも聞いていると、わがままになる」と思い込んでいます。
親も先生も、みんなそう思っています。
この思い込みは今に始まったことではなく、大昔から連綿と続いてきました。
でも、親に自分の願いをたくさんかなえてもらった子どもは、本当にわがままに育つのでしょうか。
言うことを聞けなくても共感を
結局、この説は児童心理学の研究で否定されました。
真実はその逆だったのです。
つまり、自分の言うことをよく聞いてもらえている子の方が、わがままを言わなくなるし、親の言うことも素直に聞くようになるということが分かったのです。
ですから、子どもが「抱っこ」と言ったら、
「歩けるでしょ」などと意地悪なことを言わずに抱っこしてあげましょう。
子どもが本や絵本を「読んで」と言ったら、
読んであげた方がいいし、
「もっと遊びたい」と言ったら遊ばせてあげましょう。
たとえ、子どもの言うことを聞けないときでも、
まずはその気持ちに共感してあげることが大切です。
たっぷり共感した後で、
「でも、○○だからできないよ。ごめんね」と言えば、
子どもも無理なことはうすうす分かっていますから、一応、自分の気持ちは分かってもらえたと感じて納得してくれます。
子どもの自己肯定感と親への信頼感の下げ方
ところが、
親は「わがままにさせたくない。我慢できる子にしたい」という思いから、我慢ばかりさせることが多いのが実情です。
そういう親は、
子どもが「もっと遊びたい」と言えば「もう帰るよ」と答えます。
子どもが好きな食べ物よりも嫌いな食べ物を、
わざとたくさん出したりもします。
子どもから「(本などを)読んで」と頼まれても
「自分で読めるでしょ」と答え、
「おんぶ」とせがまれても「自分で歩こう」と答えます。
「買って」には「買わないよ」と答えるし、
転んで泣きたいときには「泣かないよ」と叱ります。
このように、子どもが何か言えば、共感することなく門前払いです。
さらに
「なんでそんなにわがままなの」
「わがまま言っちゃダメ。いつもあなたはどうのこうの…」
と、余分なことまで言って叱ってしまいます。
こういう親だと、子どもには不満がたまり続けます。
そして、自分は親に愛されていない、大切にされていないという不満が高まり、自己肯定感と親への信頼感がともに下がります。
さらには、自分は何を願ってもかなえられないということが骨身に染みて分かり、無力感を持つようにもなります。
そういう子は、親に反発するようになりますし、我慢もできない子になります。例えば、お菓子やおもちゃの陳列棚の前で、「買って、買って! ウギャー」と駄々をこねている子を見たことがあるでしょう。
そういう子は、親が何でも言うことを聞いているから、わがままになってそんなことをわめいているわけではありません。
日頃から言うことを何も聞いてもらえなくて、不満や不信感がたまっていたのです。
もう既に、お菓子やおもちゃが欲しいという気持ちよりも、ここで買ってもらえるかどうかが「自分が親に大切に思ってもらえているか? まだ愛してもらえているか? 自分には願いをかなえる力があるか?」などの試金石のように感じているのです。
だから、簡単には譲れないのです。
「子どもの言うことを何でも聞いていると、わがままになる」は迷信です。
うそ、作り話、集団的勘違いです。
本当は子どもにとって、自分の願いや希望を親にかなえてもらう経験をたくさんすることが大事なのです。
これによって子どもは親の愛情を感じ、自分は大切な存在だと知ります。
つまり、自己肯定感と親への信頼感が高まるのです。
また、自分の願いは実現可能だということも知ります。これもまた、子どもが長い人生を生きていく上でとても大切なことです。
どんなこどもになって欲しいか考えたときに、
何を優先するかによって子どもへの声掛けや、接し方が変わってくるものです。
まずは、どんな子どもになって欲しいか明確にしてから、
具体的な像を描いてみてはいかがでしょうか?
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