不登校で「勉強しない」のは甘え?〜元教員・公認心理師が教える、子どもが自分から動き出す関わり方〜

教育

「不登校になってから、まったく勉強しない。これって甘え?」
「このまま勉強しなかったら、将来どうなるんだろう…」——
不登校のご家庭で、いちばん多いと言ってもいい悩みです。

何度言っても机に向かわないんです。これは甘えなんでしょうか…?

その問い、本当によく聞きます。先に結論を言うと——「勉強しない」の中身を見分けることが、いちばんの近道です。

元小学校教員として15年、今はスクールカウンセラーとして学校現場にいる立場から、この記事では「勉強しない」の正体と、子どもが自分から動き出すための関わり方を、現場の経験をもとにお伝えします。

大前提:勉強しない子も、本当は「できるようになりたい」

まず知っておいてほしいことがあります。勉強ができるに越したことはない——そして、子ども自身も、心の奥では「できるようになりたい」と思っています。

「勉強なんて意味ない」「やりたくない」という言葉は、多くの場合、本心ではありません。できない自分を見たくない、傷つきたくない——その裏返しであることがほとんどです。ここを誤解すると、関わり方を全部間違えてしまいます。

小学生の「勉強しない」の正体は、多くが「わからない」

これは私の現場での実感ですが、小学生の「勉強しない」は、その大多数が「勉強がわからない」です。やる気の問題でも、性格の問題でもありません。

考えてみてください。わからない問題を毎日見せられ続けるのは、大人でも本当に苦しいことです。子どもが机から逃げるのは、ある意味で当然の自己防衛なのです。

逆に言えば、「わかる」が戻れば、子どもは自分から取り組むようになります。「勉強しない」を「やる気がない」と片づける前に、「どこからわからなくなっているか」を見てあげてください。学習の遅れの戻し方はこちらの記事に詳しくまとめています。

「勉強しない」にもタイプがある(対応は変わる)

「わからない」がいちばん多い理由ですが、それだけではありません。現場で見ていると、おおまかに次のタイプに分かれ、対応も少しずつ違います。

タイプ子どもの様子まず必要なこと
わからない型(小学生に多い)問題を見ると固まる・避けるつまずいた地点まで戻って「わかる」を取り戻す
エネルギー切れ型何もする気が起きない・よく眠る勉強より先に休養。心の回復を待つ
不安型「どうせできない」が口ぐせ・失敗を怖がる小さな成功体験と、責めない安心感
特性型一斉授業や特定の科目だけ極端に苦手その子に合うやり方・専門家への相談

たいていは、これらが複数混ざっています。「勉強しない」と一括りにせず、今その子に何が必要かを見てあげてください。

「これは甘え?」への答え

親御さんが一番悩むこの問いに、正直にお答えします。気の済むまで、甘えさせてあげていいんです。

ただし、ここには大事な線引きがあります。「甘えさせる」と「甘やかす」は違います。

とことんやって大丈夫そうではない
中身信頼関係の中での甘え、身体的な甘え・スキンシップ、気持ちを受け止めることゲームを延々と続ける、夜通しテレビを見る、生活が完全に崩れるのを放置すること

抱きしめてほしい、そばにいてほしい、話を聞いてほしい——こうした情緒的・身体的な甘えは、とことん受け止めてあげて大丈夫です。これは子どもの「安心の土台」を作り直す大切な時間で、ここが回復のスタート地点になります。

一方で、無制限のゲームや昼夜逆転まで「甘え」として許す必要はありません。安心と、生活のゆるやかな枠は両立します。(なお、愛着の問題など特別な背景が考えられる場合は別の対応が必要なので、スクールカウンセラーなど専門家にご相談ください。)

やってはいけない関わり方

学校に行けないなら、せめて家で同じ時間に勉強を…と思ってしまいます。

気持ちはとてもよく分かります。でも、これはいちばん避けたい関わり方です。

勉強が苦手で、授業がつらくて学校に行けなくなった子に、家でも「学校と同じリズム・同じ勉強」を強要するとどうなるか。学校が嫌で逃げてきた場所(=家)でまで同じことを求められ、居場所がなくなってしまうのです。家での安心感が少しずつ削られ、回復はかえって遠のきます。

まず必要なのは、勉強よりも「家は安心できる場所だ」という感覚を取り戻すこと。順番を逆にしないでください。

子どもが自分から動き出す関わり方

では、どうすれば子どもは動き出すのか。不登校の子に限らず、個別指導の現場で何度も見てきたことをお伝えします。

鍵は「できるかも」と思えること。そのために、できたことを言葉にして、声をかけ続けるんです。

1対1で、その子のわかるところまで戻って教える。そして「できたこと」を具体的な言葉にして伝え続ける。「ここ、前はつまずいてたのに自分で解けたね」と。すると子どもの中に「自分もできるかも」という感覚が育ち、やがて自分から机に向かうようになっていきます。

大事なのは、この「できた」を見つけて言語化する役は、親でなくてもいいということ。むしろ親が先生役になると、親子関係に勉強の緊張が持ち込まれてうまくいかないことが多いものです。

この「わかる」を取り戻す伴走者は、家庭の外につけるのがコツです。具体的な選択肢は、このあと整理します。

年齢で変わる「動き出すきっかけ」

「いつになったら動くの?」という不安にも、年齢ごとの傾向からお答えします。

小学生:「できるかも」という見通し

先ほど書いたとおり、小学生はまず「わかる」「できるかも」という見通しが戻ることが、いちばんのきっかけになります。逆に言うと、ここが戻らないうちは動きにくい年代です。焦って量を増やすより、「できた」を一つずつ確実に積むほうが近道です。

中学2年後半〜中学3年生:「高校進学」という自分の目標

これは私の直接の事例ではなく、カウンセラー仲間の間でよく聞く傾向としてお伝えします。この年代になると、高校進学という”自分ごとの目標”が見えてきたことをきっかけに、自然と登校を始め、受験に向けて頑張り出す子がいます。外からの「勉強しなさい」ではなく、本人の中に目的が生まれた瞬間が、いちばん強い原動力になるのです。

だから、今は動けなくても大丈夫。目標が見えたときにすぐ動けるよう、土台(家の安心と、最低限の「わかる」)を残しておく——それが親にできる準備です。高校受験の進路については家庭教師の記事でも触れています。

「わかる」を取り戻す学び直しの選択肢

家庭の外の伴走者をつけるとき、主な選択肢を整理します。親が先生役をやると親子関係に勉強の緊張が入りやすいので、「第三者の伴走」を上手に使ってください。

選択肢向いている子
オンライン家庭教師(1対1)つまずきを人に見てもらいながら進めたい子
無学年式の通信教材学年の枠を外して、自分のペースで戻りたい子
フリースクール学びより先に「安心できる居場所」がほしい子

不登校に理解のあるオンライン家庭教師なら、わからない所まで戻って伴走してもらえます。また、無学年式の自宅学習は要件を満たせば学校の出席扱いにもでき、「勉強」と「出席日数」の不安を同時に軽くできます(出席扱い制度の解説もあわせてどうぞ)。

よくある質問

Q. 勉強しないまま放っておいて、将来は大丈夫でしょうか?
A. 「今すぐ」を焦る必要はありません。心が回復し「わかる」が戻れば、学習は取り戻せます。今は学び直しの選択肢(家庭教師・通信制・高卒認定など)も広がっています。大切なのは、勉強より先に「またやってみよう」と思える心の土台を守ることです。

Q. 「やる気が出たら勉強する」と言いますが、待っていていい?
A. ただ待つのと、土台を整えて待つのは違います。安心できる家庭環境を保ち、わからない所をこっそり埋めておくと、「やる気」が出たときにスッと動けます。何も準備せず待つと、いざ動こうとしても壁が高くて止まってしまいます。

Q. 中学生でも「わからない」が原因のことはありますか?
A. あります。とくに積み上げ教科(数学・英語)は、小学校範囲のつまずきが残っていることも。学年にこだわらず「どこから」を探すことが、中学生でも有効です。

Q. 「勉強しなさい」と言ってはいけませんか?
A. 一度や二度なら問題ありません。ただ繰り返すと逆効果になりやすいです。子どもはもう十分「やらなきゃ」と分かっていて、できない自分に苦しんでいることが多いから。「言う」より、できる環境をそっと整えるほうが、結局は早く動きます。

Q. ご褒美で釣って勉強させるのはアリですか?
A. 最初の呼び水としてはアリですが、長続きはしにくい方法です。ご褒美がないと動かなくなることも。最終的には「わかる→できる→楽しい」という内側の手応えに切り替えていくのが理想です。きっかけ作り、くらいに考えてください。

まとめ:「勉強しない」を責める前に

  • 勉強しない子も、本当は「できるようになりたい」と思っている
  • とくに小学生は「勉強しない=わからない」が大多数。わかれば動き出す
  • 甘えは受け止めてOK(信頼関係・身体的な甘え)。ただしゲーム・昼夜逆転の放置とは別物
  • 家で学校と同じリズム・勉強を強要しない(家の安心を最優先)
  • 「できた」を言語化して声をかけ続ける。その役は親でなくていい

「勉強しない」は、子どものSOSであることがほとんどです。責める前に、その中身を見てあげてください。


教育
↓「参考になった!」「いい記事だった!」「是非応援したい!」方はぜひシェアをお願いします\(^o^)/
↓ぜひEducation support placeのフォローをお願いします!!
可能性は無限大〜不登校、子育て、人間関係の処方箋〜愛知 岡崎市からあなたに届け!

コメント