不登校の子の夏休みの過ごし方〜ゲーム・昼夜逆転とどう付き合う?元教員・公認心理師が解説〜

夏の縁側で読書する子どもと猫。不登校の子の夏休みのイメージ教育

「一日中ゲームばかり」「昼夜が逆転してきた」「この夏休み、このままでいいの…?」——
不登校のお子さんの夏休みは、親にとって心配の種が尽きませんよね。

保護者

朝まで起きてゲーム、昼過ぎに起床…。注意すべきか、見守るべきか分かりません。
先生

実は、正解は「不登校になった時期」によって変わるんです。そこから整理しましょう。

元小学校教員として15年、今はスクールカウンセラーとして学校現場にいる立場から、不登校の子の夏休みの過ごし方を、現場の実感をもとにお伝えします。

大前提:過ごし方は「時期」で変わる

夏休みの関わり方に唯一の正解はありません。お子さんが不登校になってからの時期によって、優先することが変わります。

時期優先すること理由
不登校になった直後ある程度、自由にさせる嫌だったことを考えずに済む。まずは心の休養が最優先
長期化してきた時期基本的な生活リズムは守りたい昼夜逆転が固定すると、戻すのが本人もつらくなるため

つまり、なりたての子に「規則正しく!」と迫るのは逆効果。一方で、長く休んでいる子の生活が完全に崩れていくのは、本人のためにも少しずつ整えたい——この使い分けが出発点です。

「ゲームばかり・昼夜逆転」とどう付き合う?

親御さんが一番悩むところです。先に、やってはいけないことから。

ゲームを取り上げる、親が勝手にルールを決める——これはNGです。今、ゲームはその子にとって数少ない「安心できる居場所」や「人とつながる窓口」であることが多い。それを一方的に奪うと、反発と孤立を生むだけです。

先生

ルールは「一緒に話し合って決める」。そして私がよくおすすめするのは、親も一緒にゲームをやってみることです。

ルールは、親が課すのではなく本人と一緒に話し合って決める。自分で決めたルールは守ろうとするものです。

そしてもう一つ、現場でよくおすすめしているのが——親も一緒にそのゲームをやってみること。実際にやると、「やめられない気持ち」や「ちょうどいいやめ時(区切り)」が体感として分かります。すると「次の区切りでご飯にしよう」といった声かけが、的外れにならず自然にできるようになります。頭ごなしの「もうやめなさい」とは、子どもへの届き方がまるで違います。

昼夜逆転を少しずつ戻すには

大前提として、昼夜逆転は「原因」というより「心が疲れている結果」であることが多く、心が回復してくると自然に戻ってくるものです。無理やり正そうとすると、かえってこじれます。その前提のうえで、戻すきっかけとして一般に役立つとされる工夫を紹介します(本人と相談しながら、できそうなものから)。

  1. 「起きる時間」を一つだけ決める…寝る時間より、起きる時間を一定にするのが基本です。
  2. 朝、光を浴びる…カーテンを開ける、短い散歩など。人の体内時計は朝の光でリセットされます。
  3. いきなりでなく15〜30分ずつ前倒し…一気に直そうとせず、少しずつ。これが続くコツです。
  4. 日中に「楽しみ・予定」を置く…友達と遊ぶ、好きな活動など、起きる理由を昼間につくると自然に整いやすくなります。
  5. 夜の強い光(ゲーム・スマホ)は寝る前だけ控える…取り上げるのではなく、「寝る前の光は眠りを妨げる」という事実を本人と共有し、区切りを一緒に決めます。

なお、生活リズムを整えても朝どうしても起きられない・立ちくらみや頭痛・午前中の不調が続く場合は、気持ちの問題ではなく「起立性調節障害」など体の要因が隠れていることがあります。その場合は小児科や心療内科への相談を検討してください。

夏休みは「友達と遊ぶ」最大のチャンス

もし可能なら、夏休みの昼間に友達と遊ぶ時間をつくれるといいですね。

夏休みは、クラス全員が休みです。だからこそ、不登校の子も「自分だけ学校に行っていない」という引け目を感じずに、気兼ねなく友達と遊べるパターンが多いのです。普段は会いにくい友達とも、夏休みなら自然に時間を合わせられます。

この「友達とのつながり」は、二学期の再登校にもつながる大きな力になります(詳しくは夏休み明けの準備の記事に書きました)。

夏休みの宿題はどうする?

保護者

宿題を巡って、毎年ケンカになってしまいます…。

結論から言うと、宿題は親が介入しすぎないほうがうまくいきます

親が関わると、どうしても「やったの?」「まだ?」が増えて、親自身がイライラしてしまいます。これは親の精神衛生にもよくありません。おすすめは、担任の先生と本人とで、どこまでやるか目標を相談して決めてもらうこと。第三者である先生が間に入ると、親子バトルを避けながら、本人も納得して取り組めます。

「全部やらせなきゃ」と気負わなくて大丈夫。量や期限は学校と調整できることがほとんどです。

勉強の遅れが気になってきたら

生活が少し落ち着いてきて「そろそろ勉強も…」と思えてきたら、夏休みは静かに学び直しを始める好機です。全教科ではなく、つまずいた所だけ戻って埋めておく。やり方は勉強の遅れの取り戻し方に、自宅学習を学校の出席扱いにできる制度は出席扱い制度の解説にまとめています。ただし、これは心が回復してから。順番を急がないでください。

よくある質問

Q. 昼夜逆転、放っておいて大丈夫ですか?
A. 不登校になった直後なら、無理に直さなくて大丈夫です。まずは心の休養が先。長期化してきたら、本人と相談しながら少しずつ戻していきましょう。叱る・取り上げるは逆効果になりやすいです。

Q. ゲーム依存にならないか心配です。
A. 取り上げるより、一緒にルールを決め、親も一緒にやってみるほうが、結果的にコントロールしやすくなります。それでも生活や心身に明らかな支障が出ている場合は、スクールカウンセラーなど専門家に相談を。

Q. 旅行やお出かけに連れ出してもいいですか?
A. 本人が乗り気なら、気分転換にとても良いです。ただし「外に連れ出せば元気になる」と期待しての無理強いはNG。あくまで本人のペースで。

Q. 何もせず一日が終わります。これでいいの?
A. 「何もしていない」ように見えても、心は回復に向けて休んでいます。エネルギーが戻れば「ひま」と言い出します。それが次に進むサインです。

まとめ:夏休みは「整える」より「休ませて、つなぐ」

  • 過ごし方は時期で変わる(直後は自由に/長期化は生活リズムを少しずつ)
  • ゲームは取り上げない。一緒にルールを決め、親も一緒にやってみる
  • 昼夜逆転は、叱るより本人と相談しながら整える
  • 夏休みは友達と遊ぶ最大のチャンス(再登校の力になる)
  • 宿題は親が抱え込まず、担任と本人に任せる

夏休みは、無理に「整える」期間ではなく、心を休ませて人とのつながりを保つ期間。焦らず、この夏を一緒に乗り切りましょう。


教育
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