我が子の「行きたくない」は、ある日突然やってきます。
でも本人の中では、突然ではありません——打ち明けるまで、ずっと我慢して通っていたのです。
この記事では、元小学校教員(15年)・公認心理師として多くのご家庭と関わってきた立場から、
不登校経験者やその保護者の「実際にうまくいったこと・いかなかったこと」の声をもとにした初動の心構え5つをまとめます。
この記事でわかること
- 最初の数週間で「やってはいけないこと」「やってあげたいこと」
- 「義務教育だから行かせなきゃ」という誤解の正体
- 休ませることが不安になったときの考え方
※不登校になった直後のお子さんの様子が心配な方は、直後の症状と親ができることの記事も参考にしてください。
目次
①無理矢理連れて行かない
泣き叫ぶ我が子を無理矢理学校へ連れて行くのは逆効果です。
「ここで休むと、明日から行けなくなるんじゃないか」という親側の恐怖はよく分かります。
でも、打ち明けるまで本人はずっと悩み、我慢して通い続けてきました。本人の限界は「打ち明けたとき」なのです。
「今日学校へ行ったらご褒美あげるね」と釣るのも良くありません。
学校に行く・行かないは、賞罰の対象ではないからです。
「義務教育」の本当の意味
小・中学校は義務教育と言われますが、子どもが学校へ行く義務ではありません。
これは「親が子どもに教育を受けさせる義務」のことで、その教育には公立学校だけでなく、フリースクールも、家庭での学習(ホームスクーリング)も当てはまります。
実際、自宅での学習が学校の「出席扱い」になる国の制度もあります。詳しくは出席扱い制度の解説記事にまとめました。
「学校に行かせなければ」ではなく「この子に合う教育の機会を保障する」——これが義務教育の正しい理解です。
②まずは、ゆっくり休ませる
マラソンで例えると、お子さんは今、フルマラソンを走り切った直後です。
そんな人に「もう一回レースに戻らないか」とは言いませんよね。かける言葉は「お疲れ様!頑張ったね」のはずです。
まずはゆっくり休ませる。寝たいだけ寝かせる。
心理師の視点から一つ補足すると、心のエネルギーの充電は、大人の目に「何もしていない」と映る時間から始まります。
「休ませる?行かせる?」で迷っている方は、この記事でも詳しく書いています。
③やりたいことを取り上げない
休み始めると、多くの親御さんがゲームを制限したくなります。でも、これも逆効果です。
ゲームをものすごくやりたがるなら、とことんやらせて、「どんなことができるようになったか」を見せてもらうのがおすすめです。
ゲーム=悪と捉えるのではなく、続けたからできるようになったことを通して、我が子の新しい一面に出会えることがあります。
ただし例外はあります。課金など親の負担になること、親や物への暴力——これらはやめさせて構いません(止めるのが難しいときは、その場から離れて安全を確保してください)。
④寄り添い続ける——家を「安全基地」にする
不登校や登校しぶりの子の内側には、「行きたくても行けない」「行きたくなくても行く」「自分でも自分がわからない」——目に見える状態の奥に、さまざまな思いがあります。
学校へ行けてもいけなくても、ありのままのその子を受け止めて、大切に思っていることを言葉で伝え続ける。
「あなたの味方だよ」と伝え続けることが、家がお子さんの「安全基地」になる第一歩です。
この「安全基地」は心理学の愛着研究から生まれた言葉で、安心して戻れる場所がある子ほど、外の世界へ挑戦できることが知られています。
小さな進歩を見逃さず、一つ一つに喜びを感じられるようになると、子どもと共に親も成長していけます。
⑤ひたすら待つ——周囲の声に揺れないために
親が「休ませよう」と覚悟を決めても、周囲がそれを揺らしにきます。
正直に言えば、無理矢理行かせて登校できるようになるケースも、無理矢理行かせようとして長期のひきこもりになるケースもあります。どちらが正解かは結果論でしか分かりません。
だからこそ、今できる確かなことは一つ——子どもの気持ちに寄り添い、気持ちが変わっていくのを待つことです。
- 心配でも、ゲームづけでも、昼夜逆転しても、黙って見守る
- 学校と関係ない場所へ出かけられるなら、積極的に連れ出す
- 将来や進路のことは、子どもから話し出すまで聞かない
場面別チェックリスト
| 場面 | ついやりがち | かわりに |
|---|---|---|
| 朝、行けない | 理由を問い詰める | 「わかった、今日は休もう」 |
| 休み始め | 登校をご褒美で釣る | これまでの頑張りを労う |
| ゲーム三昧 | 取り上げる・制限する | できるようになったことを見せてもらう |
| 周囲の口出し | 反論して消耗する | 「うちはうちの方針で」と距離を取る |
まとめ
- ①無理矢理連れて行かない(限界は「打ち明けた日」)
- ②まずは、ゆっくり休ませる(期限を決めない)
- ③やりたいことを取り上げない(例外は課金と暴力)
- ④寄り添い続ける(家を安全基地に)
- ⑤ひたすら待つ(周囲の声に揺れない)
不登校は非常に繊細なテーマで、この5つが全てのご家庭に当てはまるわけではありません。
お子さんの状態や気持ちに合わせて、応用してください。
不登校は長く、先の見えない旅になることがあります。
一人で抱え込まず、学校のスクールカウンセラーや支援機関を頼ってください。
記事を書いているスギちゃんも、ここでずっと発信を続けています。一緒に伴走していきましょう。
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