小学生の不登校、将来はどうなる?元教員が「不利になること・ならないこと」を分けて整理

不登校

学校を休む日が続くと、目の前の「明日どうするか」よりも、もっと大きい不安がじわじわ来ます。——このまま行かなかったら、この子の将来はどうなるんだろう。

調べてみても、出てくるのは「大丈夫です」か「早めの対応を」のどちらか。どちらも根拠がよくわからなくて、かえって落ち着かない。この記事は、その状態の方に向けて書きます。

保護者
今は休ませてあげたい。でも、この欠席が将来この子の不利になったらと思うと、やっぱり行かせたほうがいいのかなと…。
先生
その不安、「制度の話」と「それ以外」に分けると、かなり小さくなります。まず分けましょう。

この記事でわかること

  • 小学校の間、欠席が多くても不利にならないこと3つ(進級・中学進学・高校入試)
  • 休んだ日を「出席」として扱える国の仕組みがあること
  • 本当に心配したほうがいいのは、成績ではなく別のところだということ
  • 学校からの「そろそろ登校を」を、そのまま受け取らなくていい理由
  • 将来を占うかわりに、今週使える物差し1つ

執筆・監修:元小学校教員(約20年)/公認心理師・現役スクールカウンセラー。

結論|小学校の欠席そのもので、将来が決まってしまうことはまずありません

先に結論を書きます。小学校を休んだ日数が、そのまま将来の不利益として残る場面は、制度上ほとんどありません。

多くの保護者の方が「欠席日数」を将来の不安の中心に置いています。でも、そこは実はいちばん動かせるところで、いちばん影響が小さいところです。

心配したほうがいいことは、別にあります。順番に書いていきます。

小学校の間、欠席で「不利にならない」こと3つ

まず、多くの方が心配される3つを先に外しておきます。

心配していること実際のところ
欠席が多いと留年するのでは小学校で欠席を理由に留年する運用は、一般的ではありません
中学校に上がれないのでは欠席日数で進学できなくなることはありません
高校入試にひびくのでは入試で見られるのは中学校の記録です

欠席が多くても、進級・卒業はできます

進級・卒業を認めるかどうかは、制度上は校長が判断することになっています。ただ、小学校で「欠席が多いから留年」という運用は一般的ではありません。年度が変われば学年も上がる、という前提で動いている学校がほとんどです。

「何日休んだらアウト」というラインを気にして日数を数えている方が多いのですが、その数え方で追い詰められる必要はないと思います。

中学校への進学に、小学校の欠席日数は影響しません

公立中学校への進学に入試はありません。住んでいる地域にもとづいて進学先が決まります。小学校をどれだけ休んだかで、行ける中学校が変わることはありません。

高校入試で見られるのは、中学校の記録です

高校入試のときに提出される調査書は、中学校が作成するものです。小学校の出欠がそこに載ることはありません。

つまり、いま小学生のお子さんの欠席が、6年後の受験の場に紙として出ていくわけではない、ということです。

※ただし、進級の扱いや配慮の運用は自治体・学校によって差があります。気になる点は、担任か学校、お住まいの教育委員会に直接確認してください。この記事の内容で判断を決めきらないでいただきたいです。

休んだ日を「出席」として扱える仕組みがあります

それでも指導要録の「欠席」の数字が気になる、という方へ。

一定の条件を満たせば、自宅などでの学習を出席として扱える仕組みが、国の通知で認められています。学校側から案内されないまま知らずにいるご家庭も多く、私も「もっと早く知りたかった」と言われたことが何度もあります。

条件と、学校へどう切り出すかの手順は別の記事にまとめてあります。→ 不登校でも「出席扱い」になる文科省の制度、知っていますか?

本当に心配したほうがいいのは、成績ではなく「つながり」のほうです

ここからが本題です。制度の話を外すと、残る心配はこの2つに絞られます。

いちばん怖いのは、家の外とのつながりが1本もなくなること

不登校で私がいちばん懸念しているのは、学力の遅れではなく引きこもりです。社会との断絶、家族との断絶が進むと、生きる意味そのものが薄くなっていきます。結果として良くないことのほうが多い、というのが現場での実感です。

だから、ものさしは「学校に戻れるか」ではありません。学校・友達・教育支援センターなど、家以外の社会とのつながりが残っているか。ここが要です。

逆に言えば、学校に行けていなくても、つながりが1本でも残っていれば心配の質はまったく変わります。

先に消耗するのは、子どもより家庭のほうです

もうひとつ、あまり語られないことを書きます。小学生が不登校になると、家庭内が乱れます。

まず夫婦の考え方の相違が出ます。次に仕事との距離感の問題が来ます。そして疲れきったお母さんのケアをお父さんが行えない。——この順番で家庭自体が良くない方向に進んでいく過程を、何軒も見てきました。

不登校はその子だけの問題ではなく、家庭の問題も一緒に顕在化させます。将来を心配するなら、6年後の受験より、今この半年の家庭のほうが先です。

保護者
たしかに最近、夫と話すと最後はケンカになります…。子どものことを考えなきゃいけないのに。
先生
それは「うまくいっていない証拠」ではなく、不登校が家庭にかける負荷そのものです。子どものことと同じくらい、そこを手当てしていい場面です。

学校からの「そろそろ登校を」を、そのまま受け取らなくていい理由

不登校になると、学校から「登校できることを待っています」というアプローチを受けることがあると思います。あれを、親の判断より重い言葉として受け取っている方が多い。ここは中の事情を書いておきます。

登校刺激は、担任ひとりの判断で決まっていません

教師は、良かれと思い登校刺激をするのが基本です。そして管理職からは、登校刺激をするように言われることが多い。学校から不登校が出ると「この学校、大丈夫?」と保護者から思われかねない、という事情もあります。

つまりあの声かけは、お子さんを見て出された個別の判断とは限りません。

先生の多くは、学校の外の選択肢を知りません

もうひとつ。教師のほとんどが不登校を経験していません。自分が経験していないのです。教師は、そもそも学生時代にいい思い出のある人が多い。だから教師になろうと思うわけです。

そのため、フリースクールの存在を知らない人が多いですし、学校へ行かずにどんな生活をしているのかも知らない人がほとんどです。同じ教師が運営している適応指導教室(教育支援センター)についてすら、詳しく知らない人が多い。

実際には、e-boardなどの無料オンライン学習支援サイトで学習を進めることができたり、不登校専門の家庭教師がいたりします。それでも学校の中にいると、そういう選択肢が視界に入ってこない。だから、不登校になりそうな子・不登校の子がいると、登校するように働きかけるしかないのが現状です。

だからこそ、登校刺激は「情報を全部持っている人からの助言」ではないと思って聞いてください。無視しろということではありません。判断の材料の1つとして、重さを戻してほしいのです。

この先の受け皿は、すでに増えています

「学校に行かないと道が閉じる」と感じてしまうのは、選択肢を知らないからでもあります。学べる場所は、もう既存の学校だけではありません。

たとえばN高のように、オンラインで学習できる高校があります。

机の上だけで学ぶ勉強だけでなく、自由な発想で考え主体性をもって問題に取り組む力となるのは総合力です。インターネットが社会に広がり、私たちの生活は大きく変わりました。世界中の情報が誰でも簡単に手に入ります。しかし、情報そのものだけでは価値は生まれず、その情報を元に自分なりに考え動ける人が価値を生み出せるのです。

https://nnn.ed.jp/
N高等学校 「~ネットで学習、ネットで部活、ネットでともだち~」

嫌なことも我慢してやらなければいけない時代から、その子の得意を生かして生きていける時代へ、少しずつ変化してきています。学校へ行っていない体験から起業する人もいますし、得意を生かした発信を続けて仕事にする人も出てきました。「個」に焦点が当たってきている、という手ごたえがあります。

だから私は、無理をして学校に行くよりも、その自由な時間を使って自分の価値を高めていくほうが、この先社会から必要とされる人になっていくと考えています。

※私の専門は小学校の現場です。通信制高校や中学以降の進路については、直接の経験がありません。各校の公式資料や、お住まいの地域の相談窓口で必ずご確認ください。

今週から使える物差しは、1つだけです

正直に書きます。お子さんの将来がどうなるか、私は答えを持っていません。現場で不登校の子を何人も見てきましたが、その子たちがその後どうなったかを、私は追えていません。「大丈夫です」と言い切る人がいたら、その根拠は聞いたほうがいいと思います。

だから、占うのはやめて、今週測れるものに替えます。使うのは1つだけです。

今週、家族以外の誰かと会えた日はありましたか。

  • 友達と遊んだ(家でも、公園でも、オンラインでも)
  • 習い事やスポーツに行った
  • 教育支援センターやフリースクールに顔を出した
  • 親戚・近所の大人と話した
  • 先生が来て、少しでも話した

1つでも当てはまるなら、今週は合格です。学校に行けた日数はゼロでもかまいません。

ここで1つだけ、お願いに近いことを書かせてください。「学校に行けていないのに公園なんてありえない」——この考えは、回復のきっかけを奪ってしまいます。学校がある日でも、習い事でも放課後の公園でも、行けるなら行ったほうがいい。外に出られた日は、それ自体が前進です。

保護者
学校を休んだ日に友達と遊ぶのは、さすがに甘やかしになりませんか。
先生
逆です。友だちの力は、家族や先生より圧倒的に強いんです。会えている子は、戻るときの入口が残ります。

まとめ|数えるものを、欠席日数からつながりの本数に替える

  • 小学校の欠席が、進級・中学進学・高校入試で不利に働く場面は、制度上ほとんどない
  • 指導要録の数字が気になるなら、出席扱いの制度という手がある
  • 本当に心配すべきは学力より、家の外とのつながりが残っているか
  • 先に消耗するのは家庭のほう。夫婦のすれ違いは負荷の症状であって、失敗ではない
  • 学校からの登校刺激は、全部の情報を持っている人からの助言ではない
  • 将来は占えない。かわりに「今週、家族以外の誰かと会えたか」を見る

今日できる小さな一歩を1つだけ挙げるなら、カレンダーに書く項目を替えることです。休んだ日に×をつけるのをやめて、誰かに会えた日に○をつける。同じ1週間が、まったく違って見えてきます。


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