小4の子が不登校になると、多くの親御さんが「小4の壁」にたどり着きます。
学年のせいにすると、次にやることが「乗り越えさせる」しか残らなくなります。玄関で説得する朝が増えて、親も子も疲れ果てていきます。
元小学校教員として約20年、いまは公認心理師・スクールカウンセラーとして学校現場にいます。「聞いてはいたけど、ついにこの時期が来てしまったか…」と、かえって動けなくなった家庭を何度も見てきました。
私の現場は小学校です。中学以降は事情が変わる部分がありますので、小学生の親御さん向けとして読んでください。
小4の不登校を「小4の壁」のせいにしなくて大丈夫です
学年は原因ではありません。原因は、お子さんが学校で受け取っていたものが減ってしまっていることです。先に見るのは学年ではなく、4本の柱のどれが折れたかです。
| 学校へ行く理由 | 行く理由が減ってきているときのサイン | 先にやること |
|---|---|---|
| 授業がわかる | 「わからない」と口にする。宿題で手が止まる | 追いつかせない。つまずいているところを見つけ復習。 |
| 友だちがいる | 休み時間の話が出ない。名前が急に出なくなった | 担任に休み時間の様子を聞く。落ち着いて会える場を設定する。 |
| 先生が味方 | 担任の話題で顔がこわばる。怒られた話が増える | 担任に学校での最近の様子を聞く。 |
| 放課後に楽しみがある | 家から出ない日が増えるもしくは続く | 家以外にも居場所を確保する。 |
4つの学校へ行く理由のうち、いくつ減ってきているサインがあるかを紙に書き出してみてください。全部が減っている子は、まれです。
「壁」と呼ぶと、打ち手が「乗り越えさせる」になります
「壁」には、乗り越える以外の選択肢がありません。目の前の子に起きている事実を把握していきます。(問い詰めると尋問風に受け取られるので、あくまでも自然な会話の流れの中で。)
小4で人数が増えるのは事実です。ただし原因ではありません
文部科学省の調査では、小学校の不登校は学年が上がるほど人数が増えます。4年生あたりで「うちの子だけではない」と気づく親御さんが多いのは、そのためです。
9歳から10歳ごろは、抽象的な考え方への入口だと言われています。自分と他人を比べる力も育ちます。力が育つからこそ、できていない自分がよく見えてしまいます。
学校で受け取る「いいこと」が減ると、行く理由が消えます
行きしぶりの子は、学校に行く理由を失っています。授業がわからず、話す友だちもいない状態です。
理由を失った子を無理に連れて行くのは、「修行してこい」と言うのに近い行為です。休みグセや親の価値観で押しても、行く理由は戻りません。
授業がわかる、が最初に折れやすい柱です
4年生の学習は、目に見えないものを頭の中で動かす場面が増えます。わり算の筆算の計算、面積、理科の考察。手を動かせば解けた3年生までとは、必要な力が変わります。
つまずいた子は、45分間ずっと「わからない席」に座ることになります。1日5時間なら、週に25時間です。大人でも、意味のわからない会議に週25時間は出られません。
「友だちの力」は、家族や先生より強い
私が現場で見てきたなかで、いちばん強かったのは友だちの力でした。家族の励ましよりも、担任の家庭訪問よりも効きます。
4年生になると、仲間の集まり方が変わります。だれとでも遊べた時期が終わり、グループに入れる・入れないがはっきりしてきます。うまく入れなかった子には、学校に行く理由が1本まるごと消えます。
折れた柱ごとに、先にやることが変わります
打ち手は柱ごとに違います。折れていない柱には、手を出さないでください。
授業での困り感が強い子|追いつかせない
遅れを取り戻す計画は、いったん脇に置いてください。行けていない子にとって、追いつく量の多さは絶望になります。
やるのは1つです。いま解ける問題まで学年をさかのぼって、つまずきをひとつずつ減らしていく。わかる感覚が戻ると、机に向かう時間が少しずつ伸びます。
家庭で教えると親子げんかになる場合は、第三者に依頼するのもありです。オンラインの家庭教師なら、家から出ずに1対1で戻れます。
ただし、合う子と合わない子がいます。不登校の家庭教師はいつから?向く子・向かない子を元教員が正直に解説で、先に「向かない子」から確かめてください。
友だち関係で困り感が強い子|会える場を設定する
教室に戻す前に、会える場所を作ります。別室や保健室に来られた日は、仲のいい友だちに会わせて楽しい時間を過ごさせてください。友だちに会えることが、次に来る理由になります。
高学年なら、放課後に遊ぶ時間を本人同士で決められます。低学年や中学年は、大人が間に入って約束をつくる必要があります。
先生との関係で困り感が強い子|親が通訳になる
子どもは、担任に自分の状態をうまく説明できません。「怒られるのがこわい」を言葉にできないまま、行かない選択だけが残ります。
親御さんが代わりに「最近うちの子学校で変わった様子ありませんか?」と伝えてください。もし担任側の言い分が聞けるかもしれません。特に担任からこれというエピソードが出てこない場合は、「最近先生に言われたことで少し悩んでいるようで…」とやんわりと先生とのことで困っているという事実を伝えてください。
放課後の過ごし方で困り感が強い子|家以外にも居場所を確保する
不登校でいちばん心配なのは、家から出ない状態が続くことだと私は考えています。社会とのつながりが細るほど、子どもは自分の居場所を見失います。
学校でなくてかまいません。行き先は次のようなところです。
- 習い事
- 放課後の公園
- 教育支援センター(適応指導教室)
- 祖父母の家
家以外の場所が1つ残っていれば、戻るきっかけは残った場所から来ます。
学校がある時間に外へ出すことをためらう親御さんは多いです。行ける場所があるなら、行かせたほうがいいと私は考えています。
小4だからこそ、やらないほうがいいこと3つ
4年生は、自分を客観的に見る力が育つ時期です。育った力は、自分を責める方向にも働きます。
「4年生なんだから」と言わない
学年で線を引く言葉は、逃げ道をふさぎます。できていない自分がよく見えている子に、学年の看板を重ねる必要はありません。
伝えるなら、できた量ではなく向かおうとした気持ちのほうです。
親の不安を、そのまま子どもに渡さない
子どもは、休んでいることにもう罪悪感を持っています。親の心配が加わると、罪悪感が二重になります。
これまで通りに過ごしている家の子は、落ち着くのが早い印象があります。不安をゼロにする必要はありません。子どもの前で出す量を減らすだけで変わります。
行けた日を褒めすぎない
行けた日を大げさに褒めると、行けない日の意味が変わります。「行かないと褒められない」と子どもが学んでしまうからです。
褒める的は結果ではありません。行こうとした気持ちのほうを、短く認めてください。
病院や相談機関に相談したいサイン
心の疲れが体に出ているときは、家庭の工夫より先に専門家へつないでください。次の4つが目安です。
- 朝、布団から起き上がれない
- 夜中に目が覚める。眠りが浅い
- 食欲が落ちた。体重が減った
- 前は楽しめたことを楽しめない
2週間ほど続くなら、小児科やスクールカウンセラーに相談してください。登校に楽しみが残っている状態なら、相談しながら様子を見る選択もあります。
よくある質問
学童をやめたのが原因でしょうか
原因かどうかは、放課後の困り感の様子で見てください。学童の代わりに友だちと遊べている子なら、大丈夫かもしれません。
家から出ない日が続いているなら、放課後に家以外の居場所を見つけるところから始めてください。
「小4の壁」は乗り越えないといけませんか
乗り越える対象として扱う必要はありません。折れた柱を1本ずつ立て直すと、結果として壁の話は消えます。
勉強だけでも続けさせるべきでしょうか
量ではなく、わかる感覚が残るかどうかで決めてください。わからない問題を続けると、学校から遠ざかる材料が増えます。
順番に迷ったら不登校の勉強の遅れ、どこから取り戻す?を読んでみてください。
小4の不登校は、いつまで続きますか
期間はお約束できません。行けた翌日に行けない日は、ふつうに起こります。
最悪を想定しておいて、待つときは楽観的に。構えを先に決めておくと、揺れ戻しの日に親が折れずに済みます。
まとめ
- 小4の不登校は学年のせいではありません。折れた柱を探してください
- 見るのは4本。授業・友だち・先生・放課後
- 授業が折れた子は追いつかせない。今日の1問に戻す
- 友だちが折れた子は会える形を1つ残す
- 家の外につながりを1本。学校でなくてかまいません
- 4つの体のサインが2週間続くなら、専門家に相談する
今日できる一歩は1つです。4本の柱のうち、困り感の強そうなものに丸をつけてください。1本に絞れると、明日の声かけが変わります。
「小4の壁」を調べたのは、お子さんの変化に早く気づけたからです。気づける親御さんの子は、立て直しの材料をもうもっています。











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