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子どものことで頭がいっぱいで、気づけば自分のことは後回し——
不登校のお子さんを支える毎日は、親御さん自身のエネルギーを静かにすり減らしていきます。とくに、まわりの子が学校へ向かう朝を毎日見送る時期は、「もう疲れた」「限界かもしれない」と感じやすいものです。
元小学校教員として約20年、今はスクールカウンセラーとして学校現場にいる立場から、この記事では「支える側」である保護者の方が、自分を追い詰めずに毎日を続けていくための考え方とセルフケアをお伝えします。お子さんへの対応法ではなく、親御さん自身のための記事です。
先に、この記事の使い方を一つだけ。最初のセルフチェックで「いまの自分がどの段階か」を見てから、合う場所だけ読んでください。全部読む元気がない日でも、それで十分です。
まず、いまの自分を測る——「消耗のサイン」セルフチェック
疲れは、少しずつたまるので自分では気づきにくいものです。次のリストで、いまの自分の状態を確認してみてください。
- 寝つけない・夜中に目が覚める、または朝すっきり起きられない
- 食欲が落ちた、または逆に食べすぎてしまう
- 以前は楽しめていたこと(趣味・友人との時間)を楽しめない
- 子どもの一言に、以前よりイライラしたり涙が出たりする
- 「自分さえ我慢すれば」と、つい一人で抱え込んでいる
- 頭痛・肩こり・胃の不調など、体の不調が続いている
- 子どもの将来を考えると、不安で頭がいっぱいになる
いくつか当てはまっても、それは「弱いから」ではありません。長く気を張り続ければ、誰でもこうなります。当てはまった数で、読む場所を決めてください。
| 当てはまった数 | いまの段階 | 先に読んでほしい場所 |
|---|---|---|
| 0〜2個 | 疲れてはいるが、まだ余力がある | 「5つのセルフケア」から。予防の段階です |
| 3〜4個 | 消耗が進んでいる。頑張りより休養を優先したい | 「頼れる先」の段1・段2へ。今週中に誰かに話してください |
| 5個以上、またはつらさが2週間以上続いている | 一人で持ちこたえる段階を過ぎています | 「頼れる先」の段3・段4へ。セルフケアは後回しでかまいません |
現場で見てきて言えるのは、3個を超えたあたりから「自分でどうにかする」が効かなくなるということです。そこから先は、頑張りの問題ではなく、支えの問題です。
「私のせいかもしれない」——その自分責めから、まず離れる
スクールカウンセラーや教員として多くの保護者と接してきて感じるのは、まじめで頑張り屋の親御さんほど「自分の育て方のせいだ」と抱え込みやすいということです。愛情をかけて育ててきた方ほど、そう考えてしまいます。
でも、子どもが学校に行きづらくなる背景には、学校での出来事・友人関係・その子の気質・体調など、いくつもの要因が重なっています。「親のかかわり方ひとつが原因」と言い切れるものではありません。原因さがしに時間とエネルギーを使うより、「これからどう支えるか」に気持ちを向けたほうが、親も子もずっとラクになります。
そして忘れてほしくないのは、親が倒れてしまっては、子どもを支えることもできないということ。自分をいたわるのは、決してわがままでも手抜きでもありません。子どもを支える土台を守る、大事な行動です。
親御さん自身を守る、5つのセルフケア(0〜2個の方はここから)
大がかりなことは必要ありません。「これならできそう」と思えるものから、一つだけ試してみてください。
| コツ | 具体的にできること |
|---|---|
| ①一人で抱えない | パートナー・信頼できる友人・担任・スクールカウンセラーなど、気持ちを話せる相手を一人でも持つ。「解決」ではなく「話して吐き出す」だけで、心はずいぶん軽くなります |
| ②「子どもの課題」と「親の課題」を分ける | 登校するかどうかは、最終的には子ども自身が向き合う課題。親が背負いすぎない。親の役目は「環境を整え、見守り、支える」ことまで、と線を引く |
| ③一日10分でも「自分の時間」 | お茶を飲む、散歩する、好きな動画を観る——子どもと切り離した自分だけの時間を、罪悪感なく確保する |
| ④完璧を手放す | 家事も、しつけも、いまは「70点で十分」。できなかったことより、できたことに目を向ける |
| ⑤情報を浴びすぎない | SNSや体験談の見すぎは、かえって不安をあおることも。信頼できる情報源をいくつかに絞り、夜は情報から離れる時間をつくる |
頼れる先は4段ある——無料から順に、合う段だけ使う
セルフケアは大切ですが、それだけで抱えきれないときは、遠慮なく人を頼ってください。「相談するほどでは…」とためらう方が多いのですが、早めに頼るほど回復も早くなります。頼れる先をお金のかからないものから順に4段に並べます。上の段から使い切って、足りない分だけ下の段へ——これが現場でいちばん失敗の少ない順番です。
段1:今日・明日に話せる、無料の相手
合う人:チェック3〜4個。「誰かに一度、全部話したい」という方。
| 相談したいこと | 主な窓口 |
|---|---|
| 子どもの登校や学校とのやりとり | 担任の先生/スクールカウンセラー(学校を通して予約できます) |
| 子育て全般の悩み・地域の支援を知りたい | お住まいの自治体の子育て相談窓口・教育支援センター |
| 親御さん自身の心の不調(眠れない・気分の落ち込み等) | かかりつけ医や精神保健福祉センター(各都道府県に設置) |
| 今すぐ誰かに話を聞いてほしい | 「よりそいホットライン」など、電話で話せる相談窓口 |
私はスクールカウンセラーとして、親御さん自身のしんどさの相談も受けています。「子どものことじゃなくて私のことで予約していいんですか」——いいんです。むしろそのほうが、結果的に子どもの支援も進みます。
段2:人に会う元気がない夜に、「読む」で持ちこたえる
合う人:誰かに話す気力がまだ出ない。でも、ひとりで考えていると悪い方へ行く、という方。
深夜に検索を続けるより、同じ道を通った親の本を一冊手元に置くほうが、心は静かになります。私が保護者の方にすすめてきた本を不登校の子を育てる親に読んでほしい本にまとめました。「今のあなたの段階に合う一冊」の選び方も書いています。
段3:「近くの窓口には行きづらい」ときの、もう一つの選択肢
合う人:段1を知ってはいるが、使えない事情がある方。
無料の窓口は心強い一方で、現場ではこんな声もよく聞きます。「地元の窓口だと知り合いに会いそうで行きづらい」「日中は動けない」「対面で話すのはハードルが高い」——。
そういう方には、オンラインの心理カウンセリングという選択肢もあります。たとえば「Kimochi」は、国家資格を持つ公認心理師だけが在籍するオンラインカウンセリングです。自宅から、時間を選んで、顔を出さずに話すこともできます。私自身も公認心理師ですが、話を聴く専門職を国家資格者に限定しているかどうかは、相談先を選ぶときの大きな安心材料だと思います。
正直な注意点:こちらは有料のサービスです(プランと料金は公式サイトで確認してください)。そして、カウンセリングは医療ではありません。次の段4に書くとおり、心身の不調が続いている場合は医療機関の受診を優先してください。
逆に言えば、身体は動くのに「誰にも話せない」まま抱えている方に合う段です。家から出ずに国家資格者へ話せる、いちばん近い相談先だからです。
公認心理師のオンラインカウンセリング「Kimochi」を見てみる
段4:2週間以上続く不調は、医療へ
合う人:チェック5個以上、またはつらさが2週間以上続いている方。ここは迷わないでください。
眠れない・食べられない・気分の落ち込みが続くといった状態が2週間以上続く場合は、我慢せず、かかりつけ医や精神保健福祉センターなど医療・専門機関に相談してください。それは弱さではなく、家族を守るための大切な一歩です。段1〜3のどこかで止まっている方も、この条件に当たったら段4を優先してください。
「勉強どうしよう」の不安を、一つ軽くする
親御さんの消耗の大きな一因が、「勉強が遅れていく」という焦りです。ここは、使える制度を知っておくだけでも気持ちが変わります。
いまは、家庭やフリースクールなどでの学習が、一定の条件を満たすと学校の「出席扱い」として認められる仕組みがあります。「学校に行けない=すべてが止まる」わけではないと分かると、抱えている不安が一つ、確実に軽くなります。制度の詳しい中身や、学校への伝え方は不登校でも「出席扱い」になる文科省の制度で解説しています。
よくある質問
Q. 自分のために時間を使うと、罪悪感があります。
A. とても自然な気持ちです。ですが、親御さんが心身を削り続けると、いちばん支えたい子どもを支えられなくなります。自分をいたわる時間は「わがまま」ではなく、支える力を保つための必要経費だと考えてみてください。
Q. まわりに相談できる人がいません。
A. 身近にいなくても大丈夫です。スクールカウンセラーや自治体の相談窓口、電話相談など、あなたのことを知らない専門家だからこそ話せることもあります。まずは一つ、段1の窓口を試してみてください。
Q. 夫婦で考え方が合わず、そこもしんどいです。
A. 「登校させるべき」「見守るべき」で意見が割れるのは、とてもよくあることです。どちらも子を思うがゆえ。まずは相手を説得しようとするより、「今つらい」という気持ちを共有するところから。第三者(SCなど)を交えて話すと、冷静に整理しやすくなります。
Q. 仕事を辞めるべきか、毎晩考えてしまいます。
A. 疲れているときほど、大きな決断を急ぎたくなります。ですが、働き方の答えは「いまの消耗」が少し落ち着いてからでも遅くありません。先に決めるのは仕事ではなく、家の中で自分ひとりに寄っている荷物の分け直しです。この順番の理由は不登校で親は仕事を辞めるべき?に、現場で見てきたことを正直に書きました。
まとめ:子どもを支えるために、まず自分を守る
- まず消耗のサインで、いまの自分の段階を測る。3個を超えたら「自分でどうにかする」の段階は過ぎている
- 「私のせいかも」の自分責めは、いったん手放す。原因さがしより「これからどう支えるか」へ
- 一人で抱えない・自分の時間を持つ・完璧を手放す——できそうな一つから
- 頼れる先は無料から順に4段。上の段から使い切り、足りない分だけ下の段へ
- 2週間以上続く不調は、迷わず医療へ。「勉強の遅れ」の不安は、出席扱い制度を知るだけでも軽くなる
お子さんの一番の味方でいるために、どうか親御さん自身も大切にしてください。あなたが少しでも笑顔でいられることが、お子さんにとっての安心につながります。一人で抱え込まず、頼れるところを頼りながら、一日ずつ進んでいきましょう。心身の不調が続くときは、必ず医療機関や専門の相談窓口に相談してくださいね。
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