小学生の高学年で友達がいないと知ったとき、親はどこまで口を出していいのか迷います。「休み時間はずっと本を読んでいる」と聞くと、胸がざわつく方も多いはずです。
学校の外で友だちを作らせるべきか、見守るべきか。答えが見つからないまま、夜にスマホで調べている方もいると思います。
元小学校教員として約20年、いまは公認心理師・スクールカウンセラーとして学校で相談を受けています。担任としては、休み時間に関わらない子どうしをつなぐ授業づくりを続けてきました。
私の現場は小学校です。中学以降は事情が変わる部分がありますので、小学生の親御さん向けとして読んでください。
小学生高学年で友達がいないときは、まず担任に聞く
最初の一手は、担任に休み時間と授業中の様子を聞くことです。家で子どもから聞く話は、学校での姿の一部にすぎません。
見るのは、ひとりで過ごしている時間の「過ごし方」です。
| 担任に聞いてわかったこと | 考えられること | 先にやること |
|---|---|---|
| 授業中のペアや班では話せている | 関わる力はある。休み時間につながる場がまだ少ない | 授業の中での関わりを増やせないか、担任に相談する |
| 休み時間はいつも本を読んでいる | 本が好きな場合も、過去の人間関係でつらい思いをした場合もある | 家で責めずに、以前の友だち関係を振り返ってみる |
| 廊下などをひとりで歩き回っている | 居場所が見つからず、落ち着かない状態かもしれない | 学校の大人から声をかけてもらえるよう、担任にお願いする |
| からかい・無視・仲間外れがある | 家庭の工夫で待つ段階ではない | 待たずに担任・学年主任・管理職に相談する |
4つ目に当てはまる場合は、この記事の「見守り方」より先に学校へ相談してください。いじめの対応は、学校が組織として行うものです。
「ひとりで平気」にも理由があることが多い
私は、小学生でひとりでいても平気な子は基本的にいないと考えています。「平気」と言う子には、人と関わりにくい理由がどこかにあることが多いです。
中学生や高校生になると、人間関係の気疲れから「ひとりが楽」になる子もいます。小学生の段階で「ひとりが好き」と話す子は、それまでに何かトラブルがあった場合が少なくありません。
休み時間に本を読むこと自体が悪いのではありません。本の世界が好きな子もいます。そのうえで、以前の友だち関係を振り返ると、関わるきっかけが見つかることがあります。
聞くのは休み時間の過ごし方
最初から「うちの子、友だちがいないんです」と伝えなくてかまいません。学校での様子を聞くところから始めます。
「最近、休み時間はどう過ごしていますか?」「授業で隣の子と話し合う場面では、どんな様子ですか?」の2つを聞くと、休み時間と授業の両方の姿がわかります。
友だちは授業の中から広がる
休み時間に関わらない子どうしでも、授業の中なら自然に話す場面をつくれます。担任として私がいちばん力を入れていたのが、授業の中で関わる時間を計画的に増やすことでした。
隣の席→班→号車→全体と人数を増やす
私のクラスでは、授業の中で自分の考えを言い合う時間を頻繁に入れていました。
- 隣の席の子と相談する
- 少し人数を増やして、班で相談する
- 号車ごと(縦の列)で相談する
- クラス全体で話し合う
授業の枠があると、ふだん話さない子どうしでも半ば強制的に関わります。関わるうちにお互いを知り、休み時間にも新しいつながりが生まれていきました。
算数では、西川純先生が提唱する『学び合い』も取り入れていました。授業中に立ち歩いて、わからないところを級友にすぐ聞ける形です。
担任への伝え方の例
授業の進め方は担任とクラスによって違います。親が方法を指定するより、困っていることを伝えて相談するほうが話が進みます。
| 伝えたいこと | 言い方の例 |
|---|---|
| 様子を知りたい | 「最近、休み時間はどう過ごしていますか?」 |
| 家での様子を共有したい | 「家では『ひとりで本を読んでいる』と話していて、少し気になっています」 |
| 関わる場を相談したい | 「ペアや班で話す機会があると、本人も話しやすいかもしれません」 |
| 担任に言いにくい | 「スクールカウンセラーの先生とお話しできますか」 |
親は友だちの相手まで決めない
友だちと関わるかどうかは、最終的にはその子が決めることです。親や学校が特定の子とつなげようとしても、うまくいかないことが多いです。
合う・合わないの管理は過干渉になる
本人が「関わりたい」と望んでいるなら、手伝うことはできます。ただ、その子と気が合うかどうかは別の問題です。
親が相手を選んで遊ぶ約束までそろえると、子どもは「友だちを作らなきゃ」と追い詰められてしまいます。
家で控えたい3つの言葉
- 「友だちいないの?」(責められていると受け取りやすい)
- 「○○ちゃんと遊んだら?」(相手を親が決めてしまう)
- 「ひとりなんてかわいそう」(本人の過ごし方を否定してしまう)
かわりに「休み時間、今日は何してた?」と、過ごし方をそのまま聞いてください。話したそうなときに、自然な会話の流れの中で聞くくらいがちょうどいいです。
行き渋りがあるなら、友だちに会える場を守る
友だちがいない状態が続くと、学校に行く理由が減ってきます。授業がわからない・話す友だちがいない子にとって、学校は楽しみの少ない場所になりやすいからです。
私が現場で見てきたなかで、登校の後押しになったのは友だちの力でした。家族の励ましや担任の声かけより、友だちに会えることのほうが次に来る理由になっていました。
行き渋りのある子に無理やり行かせるのは、「修行してこい」と言うのに近いことです。少しでも仲のいい子がいるなら、会える場を担任と相談してください。登校の波がある子への関わり方は、五月雨登校の子にどう関わる?で詳しく書いています。
心配が続いて、親が先に疲れたら
子どもの友だち関係は、親が直接どうにもできない悩みです。見守ると決めても、毎日の「今日はどうだった?」に親の気持ちがすり減っていきます。
子どもは、親の不安を敏感に感じ取ります。親御さんが本音を話せる場所をもつことは、結果として子どものためになります。
心配で眠れない日が続くときは、親のほうの限界のサインも確かめてみてください。不登校の親が「しんどい」「もう疲れた」と感じたら
病院や相談機関に相談したいサイン
心の疲れが体に出ているときは、友だち関係の工夫より先に専門家へつないでください。次の4つが目安です。
- 朝、布団から起き上がれない
- 夜中に目が覚める。眠りが浅い
- 食欲が落ちた。体重が減った
- 前は楽しめたことを楽しめない
2週間ほど続くなら、小児科やスクールカウンセラーに相談してください。いじめが疑われる場合は、期間を待たずに学校へ相談してください。
よくある質問
Q. 学校の外で友だちを作らせたほうがいいですか
本人が行きたいと思える場所なら、ありだと思います。家族以外に話せる人がいることは、安心につながります。
ただし、初めての場所や初めての人に強い抵抗を感じる子も多いです。よかれと思って新しい習い事を始める前に、本人の気持ちを確かめてください。習い事の選び方は不登校でも習い事には行ける?にまとめています。
Q. クラス替えまで待てば、友だちはできますか
わかりません。クラス替えで変わる子もいれば、変わらない子もいます。
待つあいだも、授業の中で関わる時間を担任と相談しておくと、次の学年につながる準備になります。
Q. 本人が「放っておいて」と言います
親から友だちの話を何度も出すのは控えてください。そのうえで、担任には学校での様子を聞いておきます。
家では友だちの話題にこだわらず、好きなことの話をたくさん聞いてください。家で安心して話せることが、外で人と関わる土台になります。
Q. 休み時間に廊下をひとりで歩いていると聞きました
居場所が見つからずにいる状態かもしれません。担任に伝えて、学校の大人から積極的に声をかけてもらうようお願いしてください。
まとめ
- 最初の一手は、担任に休み時間と授業中の様子を聞くこと
- 「ひとりで平気」と言う子には、関わりにくい理由があることが多い
- 友だちとのつながりは、授業の中の相談の時間から広げられる
- 関わるかどうかは子ども次第。親が相手まで決めない
- からかい・無視があるときは、待たずに学校へ相談する
今日できる一歩は、担任への一本の連絡です。「最近、休み時間はどう過ごしていますか?」と聞くだけで十分です。
「ひとりで本を読んでいる」と子どもが話してくれたのは、家で学校のことを話せているからかもしれません。話してくれた一言を、学校と一緒に考える出発点にしてください。
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