「担任の先生が怖い」と言って、お子さんが学校を休むようになった。担任が怖いことが理由の不登校は、親がどこまで動いていいのか迷うテーマです。
先生に言えば角が立ちそうです。黙っていれば、子どもは毎朝つらそうです。
元小学校教員として約20年、いまは公認心理師・スクールカウンセラーとして学校で相談を受けています。担任として見られる側にも、相談される側にもいました。
私の現場は小学校です。中学以降は事情が変わる部分がありますので、小学生の親御さん向けとして読んでください。
担任が怖くて不登校ぎみのときは、まず担任に様子を聞きます
最初の一手は、担任に最近の様子を聞くことです。家で子どもから聞いた話だけで判断すると、打ち手がずれることがあります。
見るのは、子どもが話した出来事を担任が覚えているかどうかです。
| 担任に聞いてわかったこと | 考えられること | 先にやること |
|---|---|---|
| 担任も出来事を覚えている | 担任とのやりとりが、困り感の中心にある | 子どもの受け止め方を伝えて、学校での配慮を相談する |
| 担任があまり覚えていない | 担任はきっかけで、困り感は別の場所にあるかもしれない | 授業・友だち・体調など、ほかの理由を探す |
| 手をあげる・人格を否定する言葉がある | 家庭の工夫で待つ段階ではない | 待たずに校長や教育委員会へ相談する |
3つ目に当てはまる場合は、後で書く「年度末まで寄り添う」は当てはまりません。すぐに担任より上の立場の人へ相談してください。
担任が覚えていない出来事は、ほかの困り感を探すきっかけにします
子どもが「先生に怒られた」と言っても、担任側にはっきりした記憶がないことがあります。担任が覚えていない場合、私はお子さんの困り感を別の理由で探すようにしています。
担任を怖がる気持ちはうそではありません。ただ、別のしんどさが担任への怖さとして口に出ている場合もあります。授業がわからない・友だちとうまくいかない、などです。
子どもの話が日によって変わるときは、次の記事も参考にしてください。登校しぶりで理由を言わないとき|元教員が「原因探し」をすすめない現場の理由
聞くときは「最近うちの子、学校で変わった様子ありませんか?」から
最初から「先生が怖いと言っています」と伝える必要はありません。まず、学校での様子を聞くところから始めます。
担任から思い当たる話が出てこなければ、「最近先生に言われたことで少し悩んでいるようで…」とやんわり伝えてください。担任を責める言い方にしないほうが、学校での様子を細かく教えてもらえるかもしれません。
年度の途中で担任が替わることは、多くありません
公立の小学校では、担任は1年単位で決まるのがふつうです。年度の途中で替わるのは、休職などの事情があるときに限られがちです。
担任が理由で行きたがらなくなった子に、現場でできたことを聞かれたら、私の答えは1つです。年度末まで耐えられるように、ひたすら寄り添うことです。
年度末までの残りを、学期ごとに区切って見通します
9月の時点で「あと7か月」と考えると、親も子も気が遠くなります。2学期、3学期と区切ると、見通しが立ちやすくなります。
区切ったら、学期ごとに「行けたらいい日」を親子で話しておくのも1つの方法です。全部の日を目標にしないほうが、長く続けやすいかもしれません。
担任と会う時間が少ない過ごし方を、学校と相談します
担任と会う時間を減らす方法は、学校によって用意されていることがあります。
- 別室や保健室で過ごす時間をつくる
- 担任以外の先生が教える授業から参加する(学校によります)
- 行事や、友だちに会える時間だけ参加する
どれができるかは学校の体制次第です。別室の使い方は別室登校・保健室登校から教室に戻れる子は何が違う?で詳しく書いています。
休む日があっても、つながりは残します
担任を避けることと、学校や友だちとのつながりを切ることは別です。不登校でいちばん心配なのは、家以外とのつながりが細っていくことだと私は考えています。
休んだ日も、友だちと放課後に遊べるなら遊ばせてください。家以外の居場所が残っていれば、来年度に戻るきっかけも残ります。
学校に伝えるときの言い方
学校への伝え方は、担任を責めない形にそろえます。そのまま使える言い方を置いておきます。
| 伝えたいこと | 言い方の例 |
|---|---|
| 学校での様子を知りたい | 「最近うちの子、学校で変わった様子ありませんか?」 |
| 担任との困り感を伝えたい | 「最近先生に言われたことで少し悩んでいるようで…」 |
| 受け止め方の違いを伝えたい | 「先生にそのつもりがないのはわかっています。本人は大きな声が続くと体がかたまるようです」 |
| 担任に直接言いにくい | 「学年主任の先生か、スクールカウンセラーの先生とお話しできますか」 |
「担任を替えてほしい」は、最初の一言にしません
年度の途中で担任が替わることは多くありません。最初にお願いが通らない形になると、親御さんが学校に相談しづらくなります。
親が学校に相談できなくなるほうが、子どもにとっての損は大きいと私は考えています。様子を聞くところから始めて、相談の窓口を残してください。
担任に言いにくいときは、ほかの先生を経由します
担任と話すのがつらいときは、ほかの先生を通してかまいません。学年主任・教頭・スクールカウンセラーなどです。相談先をたどる順番は、不登校「担任が何もしない」と感じたら|元教員が明かす理由と頼み方にまとめています。
家では、やらないほうがいいこと3つ
家での関わり方しだいで、子どもが抱える板挟みは軽くも重くもなります。
子どもの前で担任を責めない
親が担任を悪く言うと、学校へ行く日に子どもが板挟みになります。「怖かったね」と気持ちを受け止めるところまでにして、担任の評価は口にしないでください。
「なにがあったの?」と何度も聞かない
問い詰めるように聞かれると、子どもは答えを作ってしまうことがあります。話したそうなときに、自然な会話の流れの中で聞くくらいがちょうどいいです。
無理やり連れて行かない
学校に行く理由を失っている子を連れて行くのは、「修行してこい」と言うのに近いことです。「親に行かされた」記憶が残ると、家でも安心できる場所が減ってしまいます。
年度末まで付き添う親御さんのほうが、先に疲れます
年度末まで寄り添うのは、子どもだけでなく親にとっても長い期間です。担任への気持ちや学校への遠慮、毎朝の判断が親の側に積み重なります。
子どもは、休んでいることにもう罪悪感をもっています。親の不安が大きく見えるほど、罪悪感も強くなります。親御さんが本音を話せる場所をもつことは、結果として子どものためになります。
親のほうがしんどくなってきたら、限界のサインと休み方を確かめてみてください。不登校の親が「しんどい」「もう疲れた」と感じたら
病院や相談機関に相談したいサイン
心の疲れが体に出ているときは、学校とのやりとりより先に専門家へつないでください。次の4つが目安です。
- 朝、布団から起き上がれない
- 夜中に目が覚める。眠りが浅い
- 食欲が落ちた。体重が減った
- 前は楽しめたことを楽しめない
2週間ほど続くなら、小児科やスクールカウンセラーに相談してください。担任が手をあげる・人格を否定する言葉がある場合は、期間を待たずに校長や教育委員会へ相談してください。
よくある質問
担任を替えてもらうことはできますか
年度の途中で替わることは多くありません。ただし、体罰や暴言がある場合は話が別です。担任を飛ばして、校長や教育委員会に相談してください。
来年度、担任が替われば行けるようになりますか
わかりません。担任が困り感の中心にいた子もいれば、担任はきっかけにすぎなかった子もいます。
担任が出来事を覚えていないときは、ほかの理由を探しておくと、来年度の準備になります。
「先生が怖い」と言わなくなったら、解決したと考えていいですか
言わなくなった理由は、慣れた場合も、言っても変わらないとあきらめた場合もあります。担任に「最近うちの子、学校で変わった様子ありませんか?」と様子を聞いて、学校での姿と家での姿を合わせてみてください。
勉強の遅れが心配です
担任との関係がつらい時期は、学校の進度に合わせるより、つまずいているところを見つけて復習するほうが現実的です。家庭で教えると親子げんかになる場合は、第三者に依頼する方法もあります。
まとめ
- 最初の一手は、担任に最近の様子を聞くこと
- 担任が出来事を覚えていなければ、ほかの困り感を探す
- 年度の途中で担任は替わりにくい。年度末まで耐えられる形を一緒に作る
- 「担任を替えてほしい」は最初の一言にせず、相談の窓口を残す
- 体罰や暴言があるときは、待たずに校長や教育委員会へ
今日できる一歩は、担任への一本の連絡です。「最近うちの子、学校で変わった様子ありませんか?」と聞くだけで十分です。
「先生が怖い」と子どもが話してくれたのは、家で本音を言えているからかもしれません。話してくれたことを、年度末まで寄り添う出発点にしてください。











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