子供の腹痛は仮病なのか。朝になると「お腹が痛い」と言うわが子を見て、迷う親は少なくありません。私は、仮病かどうかを見分けるより、どんな日に痛むのかを見るほうが役に立つと考えています。
毎朝ランドセルを背負う前に、トイレから出てこない。休ませると、昼前にはけろっとしている。「また?」と言いそうになる自分がいやで、夜に検索している方もいると思います。
元小学校教員として約20年、いまは公認心理師・スクールカウンセラーとして保護者の相談を受けています。担任やスクールカウンセラーとして、朝の腹痛を訴えるお子さんと保護者に関わってきました。
子供の腹痛は仮病?まず見る3つの様子
朝の腹痛は、仮病かどうかの二択では決めないでください。先に体の不調を確かめて、そのあと痛む日の傾向を見ます。
| お子さんの様子 | 考えられること | 親が今日すること |
|---|---|---|
| 熱・吐き気・下痢がある 夜や休みの日も痛がる | 体の不調かもしれない | 小児科を受診する |
| 朝だけ痛い 休みの日は痛がらない | 学校のことで気になることがあるかもしれない | 痛む日を記録して、担任に聞く |
| ほぼ毎朝痛い 何週間も続いている | クラスか家庭に、気になることがあるかもしれない | 小児科にかかりつつ、担任やスクールカウンセラーに相談する |
どの行に当てはまっても、お子さんが痛いと感じていることに変わりはありません。「学校が気になって痛い」場合も、本人のお腹は本当に痛んでいることがあります。
仮病と決めつけない
朝だけ痛がると、親はつい「仮病では」と疑ってしまいます。けれど、子どもは自分の不安やいやな気持ちを、うまく言葉にできないことが多いです。言葉にできない気持ちが、お腹や頭の痛みとして出てくることもあります。
仮病かどうかを当てても、お子さんの困りごとは減りません。知りたいのは、何がお子さんの朝をつらくしているかです。
体の不調は小児科で確かめる
次のような様子があるときは、学校のことを考える前に小児科を受診してください。
- 熱がある、吐いた、下痢が続いている
- 夜中や休みの日にも痛がる
- 痛みで夜中に目が覚める
- 食欲が落ちて、体重が減ってきた
- 痛みがだんだん強くなっている
朝の不調の背景に、体の病気が隠れていることもあります。体の病気かどうかを見分けるのは医師の仕事で、私が記事の中で判断できることではありません。受診して「体には異常がない」とわかれば、親も次の手を考えやすくなります。
最初にかける言葉は共感
お子さんが「お腹が痛い」と言ったら、最初にかける言葉は共感です。痛い気持ちに寄りそうことが、どの対応よりも先に来ます。
「痛いんだね、つらいね」から
私なら、まず「痛いんだね。つらいね」と声をかけます。そのあとで「何か変なもの食べたかな?」と、当たり障りのないことを聞いてみます。
思い当たることが出てこなければ、ほかに理由があるのかもしれません。問い詰めず、朝はそれ以上聞かなくて大丈夫です。(朝は時間がなく、親も子もあせりやすいので、話は落ち着いた時間に回します。)
痛みを否定する言葉は避ける
避けたいのは、子どもの「痛い」を否定する言葉です。訴えたいことがあるのに聞いてもらえないと、子どもは「気持ちを聞いてくれない」と受け取ってしまいます。
| 言いがちな言葉 | 言いかえ |
|---|---|
| 「痛くないでしょ」 | 「痛いんだね。どのへんが痛い?」 |
| 「大丈夫なんだから行きなさい」 | 「少し横になってから、どうするか考えようか」 |
| 「また?毎朝じゃない」 | 「朝になると痛くなるんだね」 |
| 「学校に行きたくないだけでしょ」 | 「何か気になっていることがあったら、あとで聞かせてね」 |
言いかえの言葉は、学校を休ませる約束ではありません。行くか休むかを決める前に、まず痛みを受け止めたことを伝えます。
何日か続いたら記録をとる
朝の腹痛が何日か続くなら、痛くなった日を記録してみてください。どんな日の朝に痛くなるのかが見えてくると、原因の候補をしぼれます。
記録表に書く5つのこと
カレンダーやメモ帳に、次の5つを書きます。1日1行で十分です。
| 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 日付と曜日 | 10月14日(火) |
| 痛いと言った時間 | 7時10分、着替えの途中 |
| その日の時間割や行事 | 体育、漢字テスト、音楽の発表 |
| その日どうしたか | 2時間目から登校/休んだ |
| 帰ってきてからや休みの日の様子 | 昼前には元気、夕方は友だちと遊んだ |
時間割は、連絡帳や学校からの予定表を見れば書けます。記録は親だけで書いて大丈夫です。本人に見せる必要はありません。
記録から見えてくること
2〜3週間つけると、痛む日に共通点が見えてくることがあります。たとえば次のような共通点です。
- 体育や音楽など、特定の教科がある日に痛い
- テストや発表など、いやなイベントの前に痛い
- 月曜日に多く、金曜の夜からは元気になる
- 休みの日は痛がらない
休みの日に元気なのは、ずるいからではありません。学校のある日に、お子さんにとって気になることがあるのかもしれません。平日と休日の朝の違いは、小学生が朝起きない・寝る時間が遅いときでもくわしく書いています。
逆に、休みの日も同じように痛がるなら、体の不調の可能性も考えて小児科で相談します。
担任に記録を見せて聞く
記録で共通点が見えたら、担任に学校での様子を聞いてみてください。親に見えているのは、家にいる時間のわが子だけです。教室でのことは、担任が知っています。
担任への聞き方の例文
連絡帳や電話で、次のように聞いてみてください。
- 「最近、朝にお腹が痛いと言う日が続いています。学校で変わった様子はありませんか?」
- 「火曜日に多いようなのですが、火曜日の授業で困っている様子はありますか?」
- 「休み時間は、誰かと過ごせていますか?」
問い詰める聞き方になると、担任も身構えてしまいます。(「家でも様子を見ていきたいので」とひと言添えると、話してもらいやすくなります。)担任から保健室の先生に、学校での様子を聞いてもらえることもあります。
原因を1つに決めつけない
記録や担任の話から理由が見えてきても、「必ずいじめだ」「必ず担任のせいだ」と決めつけないでください。朝の腹痛の背景は、1つとは限りません。
- クラスの中で少しいやなことがある
- 勉強がわからなくなってきている
- 学校の環境そのものが合わなくなってきている
- 家庭の中で、気になっていることがある
家庭のことが入っているのは、親を責めるためではありません。きょうだいの誕生や引っ越しなど、家の変化が子どもの気持ちに影響することもあるからです。理由が1つに決まらないときは、スクールカウンセラーに一緒に考えてもらうのも1つの方法です。行きたくない気持ちが強くなってきたら、小学生の行き渋り、親がもう限界のときも読んでみてください。
毎朝の「また?」に疲れた親へ
毎朝お腹が痛いと言われ続けると、親も疲れてしまいます。仕事に遅れる連絡、学校への欠席の電話、休ませた日の段取り。朝のたびに判断を迫られる状況です。
イライラするのは当然
「また?」と思ってしまうのは、親が冷たいからではありません。毎朝のことで、親の気持ちに余裕がなくなっているのです。イライラした自分を責めるより、ひとりで抱えない形を考えてください。
親の不安や疲れは、子どもに伝わります。子どもは、自分のせいで親が困っていると感じやすいです。担任やスクールカウンセラーには、子どものことだけでなく親自身のしんどさも話して大丈夫です。毎朝の対応で疲れ切っていると感じたら、不登校の親が「しんどい」「もう疲れた」と感じたらも読んでみてください。
よくある質問
Q. 痛いと言う日は休ませるべきですか
休ませるか行かせるかは、その日の様子で決めてかまいません。熱や吐き気があれば休ませて受診します。少し横になって落ち着くなら、遅れて登校する形もあります。どちらを選んでも、痛みを受け止めたひと言は先に伝えてください。
Q. 「頭が痛い」と言う場合も同じですか
頭痛の場合も、考え方は同じです。まず共感して、体の不調がないかを確かめます。何日か朝だけ続くなら、痛む日を記録して担任に様子を聞きます。
Q. 市販の薬を飲ませてもいいですか
薬を使うかどうかは、小児科の医師や薬剤師に相談してください。薬で痛みがおさまっても、朝に痛くなる理由が学校にあるなら、記録と担任への相談は続けます。
Q. 中学生でも同じ対応でいいですか
私の直接の経験は小学校が中心で、中学生については多くを語れません。年齢に関係なく、痛みを否定しないこと、体の不調を先に確かめることは同じです。
まとめ
- 子供の朝の腹痛は、仮病かどうかの二択で決めない
- 熱・吐き気・夜も痛むときは、先に小児科で体を確かめる
- 最初にかける言葉は「痛いんだね、つらいね」
- 何日か続いたら、どんな日に痛むかを記録する
- 記録を手がかりに、担任に学校での様子を聞く
- 原因を1つに決めつけない。親のしんどさも相談していい
今日できる一歩は、カレンダーの今日の日付に「何時に痛いと言ったか」と「今日の時間割」を書くことです。
朝のお腹の痛みは、お子さんが言葉にできない気持ちを伝えている合図かもしれません。痛む日が見えてくれば、親が毎朝ひとりで迷う時間も少しずつ減っていきます。











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