付き添い登校はいつまで続くのか。答えは何か月かの期間ではなく、お子さんが親と離れられない理由で分かれます。理由がわかれば、付き添いを続けるか、別の手を足すかを決めやすくなります。
毎朝いっしょに家を出て、教室の後ろで1時間目を見守る。仕事は遅刻か休みが続き、いつ終わるのか見えない。疲れた頭で、夜に検索している方は少なくありません。
元小学校教員として約20年、いまは公認心理師・スクールカウンセラーとして保護者の相談を受けています。担任のころは、付き添い登校のお子さんと保護者を教室で何組も見てきました。
付き添い登校はいつまで?答えは理由で分かれる
付き添い登校に「何か月まで」の決まった期限はありません。私が見てきた中では、離れられない理由によって、その後の流れが分かれていました。
| 離れられない理由 | よく見られる様子 | その後の流れ |
|---|---|---|
| 親と離れたくない | 親がいれば教室で笑っている。友だちとも話せている | 時間とともに離れられることが多い |
| 学校がしんどい | 親がいても表情がかたい。授業や友だちの話を避ける | 付き添いを続けても、学校から少しずつ遠のきやすい |
| どちらかわからない | 家と学校で様子が違う。本人に聞いても答えない | 担任に教室での様子を聞いて見分ける |
表のどの行か決められなくても大丈夫です。次の章の聞き方で、担任から教室の様子を聞くと見えてきます。
離れたくないだけなら時間で変わる
親と離れたくない気持ちが中心なら、時間とともに落ち着いていくと私は考えています。ずっと付き添っていたお子さんが、学年が変わるときに自分から登校するようになった。担任のころ、保護者から聞いた報告です。
親がそばにいれば楽しく過ごせているなら、学校そのものは嫌いではないのかもしれません。焦って引きはがすより、離れる練習を少しずつ重ねるほうが近道です。
学校がしんどいなら付き添いでは減らない
学校での過ごしづらさが背景にあると、付き添いを続けても学校から自然と遠のいていきます。毎日決まった時間にお迎えに行き、午前中だけで帰るパターンが続いたお子さんもいました。
授業がわからない、友だちとうまくいかない、先生が怖い。学校での困り感は、親がそばにいても減りません。困り感が中心なら、付き添いの長さより困り感を減らす手を先に考えます。
見分けるにはまず担任に聞く
理由を見分ける最初の一手は、担任に教室での様子を聞くことです。親が見ているのは、親がそばにいる時間のわが子だけです。親が帰ったあとの様子は、担任しか知りません。
担任への聞き方の例文
連絡帳や電話で、次のように聞いてみてください。
- 「私が帰ったあと、うちの子は教室でどんな様子ですか?」
- 「休み時間は、誰かと過ごせていますか?」
- 「授業中、困っている様子はありませんか?」
問い詰める聞き方になると、担任も身構えてしまいます。(「家でも様子を見ていきたいので」とひと言添えると、話してもらいやすくなります。)
答え別の見立て表
| 担任の答え | 見立て | 次の一手 |
|---|---|---|
| 「お母さんが帰ると少し泣くけど、すぐ友だちと遊んでいます」 | 親と離れたくない気持ちが中心かもしれない | 離れる練習を少しずつ進める |
| 「休み時間もひとりでいることが多いです」 | 友だち関係に困り感があるかもしれない | 休み時間の過ごし方を担任と相談する |
| 「授業中に手が止まっていることが多いです」 | 勉強に困り感があるかもしれない | どこでつまずいているかを担任と確かめる |
| 「学校では特に変わった様子はありません」 | 家と学校での見え方が違う | スクールカウンセラーにも様子を見てもらう |
担任の答えは、あくまで見立ての材料の1つです。一度で決めつけず、2〜3週間おきに聞き直すと変化がわかります。
離れ方は家庭ごとに違っていい
付き添いからの離れ方に、1つの正解はありません。私が見てきた保護者も、それぞれ違うやり方で付き添っていました。
離れる場所を少しずつ遠くへ
最初は教室まで付き添い、離れる場所を少しずつ教室から遠くしていったお母さんがいました。たとえば次のような順番です。
- 教室の中で、後ろの席から見守る
- 教室の入り口で別れる
- 昇降口(げた箱)で別れる
- 校門で別れる
1段階に何日かけるかは、お子さんの様子で決めます。泣いて動けない日が続いたら、1つ前の段階に戻ってかまいません。
1時間目の終わりで帰る形もある
離れる場所を変えること自体がむずかしいお子さんもいます。毎日教室までついて行き、1時間目の終わりごろに帰ってくる形で付き添いを続けた保護者もいました。
場所を動かせないなら、いる時間を決めておくのも1つの方法です。「1時間目が終わったら帰るね」と、朝のうちに本人と約束しておきます。親がいつ帰るのかが先にわかると、子どもは心の準備がしやすくなります。
ほめるのは結果より気持ち
ひとりで教室に入れた日に、大げさにほめすぎないでください。ほめすぎると「ひとりで行けない日はほめてもらえない」と、子どもが受け取ってしまうことがあります。
ほめるのは、行けたことより頑張ろうとした気持ちです。「今日はがんばろうとしてたね」と声をかけます。行けなかった日も、同じ声かけができます。
学校がしんどいなら先にすること
学校での困り感が見えてきたら、付き添いを続けながら学校側の環境を整えていきます。親がそばにいる時間を延ばすだけでは、困り感は減らないからです。
過ごす場所と時間を相談する
教室がしんどいお子さんには、別室や保健室で過ごす形を学校と相談する方法があります。午前中だけ、好きな授業だけと、いる時間を短くするのも1つの形です。友だちと会える時間を残すと、学校へ行く理由が増えることがあります。
別室からの戻り方は、別室登校・保健室登校から教室に戻れる子は何が違う?にまとめています。
体の4サインがあれば受診
次のような様子が2週間以上続くときは、小児科か児童精神科に相談してください。
- 朝、布団から起き上がれない
- 夜中に何度も目が覚める
- 食欲が落ちている
- 以前楽しめていたことを楽しめない
親と離れることへの不安が強すぎる場合も、医師に相談できます。不安の強さが病気かどうかは、記事の中で私が判断できることではありません。
付き添う親が限界のとき
付き添い登校は、親の生活を大きく変えます。仕事を休み続け、自分の時間がなくなり、終わりも見えない。疲れて当然の状況です。
親の疲れは子どもに伝わる
子どもは、学校に行けない自分に罪悪感をもっていることが多いです。親が疲れ切った顔で付き添うと、子どもは「自分のせいだ」と感じやすくなります。親が無理を続けないことは、子どものためでもあります。
付き添いを夫婦や祖父母で分けるのも1つの方法です。仕事で付き添えない日があることも、担任に正直に伝えておいてください。
本音を話せる場所をもつ
付き添いを続ける親にも、つらさを話せる相手が必要です。保護者が本音を話せる場所があるほうが、結果として子どもの安定につながります。担任やスクールカウンセラーには、子どもの相談だけでなく親自身のしんどさも話して大丈夫です。もう限界だと感じたら、不登校の親が「しんどい」「もう疲れた」と感じたらも読んでみてください。
よくある質問
Q. 付き添い登校は甘やかしになりませんか
甘やかしかどうかより、子どもが何に不安を感じているかを見るほうが役に立ちます。親と離れたくない気持ちが中心なら、付き添いは学校に通い続けるための支えになります。学校での困り感が中心なら、付き添いとは別の手が必要です。
Q. 学年が変われば終わりますか
学年が変わるときに、自分から登校するようになったお子さんはいました。一方で、離れられずに午前中だけで帰る形が続いたお子さんもいます。学年の区切りを待つだけでなく、担任に教室での様子を聞いておくと次の手を考えやすくなります。
Q. 仕事を辞めるべきか迷っています
付き添いをきっかけに、働き方を見直す保護者は少なくありません。ただ、辞めたあとに子どもがどう変わったかまで、私は見届けられていません。迷うときは、不登校で親は仕事を辞めるべき?も参考にしてください。
Q. 中学生でも付き添いは必要ですか
私の直接の経験は小学校が中心で、中学生の付き添いについては多くを語れません。年齢に関係なく、学校の様子を担任に聞くところから始めるのは同じです。
まとめ
- 付き添い登校に決まった期限はない
- 親と離れたくないだけなら、時間とともに離れられることが多い
- 学校がしんどいなら、付き添いより学校での困り感を減らす手を先に
- 見分ける最初の一手は、担任に教室での様子を聞くこと
- 離れ方は家庭ごとに違っていい。ほめるのは頑張ろうとした気持ち
- 付き添う親にも、本音を話せる場所が必要
今日できる一歩は、担任に「私が帰ったあと、うちの子はどんな様子ですか?」と聞いてみることです。
毎朝の付き添いが続いているのは、お子さんが学校へ行こうとしているからです。理由が見えてくれば、親の朝の時間も少しずつ変えていけます。











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