「学校で問題行動を起こしていると先生に言われた」「家ではふつうなのに、学校ではできない…」——子どもの問題行動に、戸惑っていませんか。
小学生の問題行動には、たいてい理由があります。そして、その多くは生まれ持った性格ではなく、後から変えていけるものです。
この記事でわかること
- 子どもが問題行動を起こす2つの原因
- 「家ではできるのに学校ではできない」子に起きていること
- 今日からできる家庭での対処法(具体的な声かけ・NG対応つき)
- 学校から連絡が来たときの動き方
- 専門機関に相談したほうがいいサイン
執筆・監修:元小学校教員(15年)/公認心理師・現役スクールカウンセラー。教室で問題行動と呼ばれる子どもたちに向き合い、相談室でその保護者の悩みを聞いてきた立場から書いています。
子どもの問題行動とは?小学生に多いサイン
学校の教室では、一年に二度、大きな危機が来ると言われています。それが6月と11月。この時期に「学級崩壊」——教室が落ちつかなくなる状態——が起きやすいのです。
そして、そうなる前には、いくつもの前触れがあります。たとえば、ある子が急に学校で問題行動を起こすようになったり、家で親に強く反抗するようになったり。
問題行動は、その子から出されるサインであることが多いのです。
小学生に多いサインには、こんなものがあります。
- 授業中に立ち歩く、わざと大声を出す
- 友達にちょっかいを出す、乱暴になる
- 先生や友達の注意を引くような行動をくり返す
- 物を隠す・壊すなど、「なぜ?」と思う行動をする
- 家で親に激しく反抗する、口答えが増える
問題行動を起こす原因は「愛情」と「安全・安心」の不足感
先に結論からお伝えします。問題行動を起こしてしまう子には、多くの場合、
「愛情」と「安全・安心できる場所」
の2つが足りていません。
逆に言えば、この2つを満たしてあげることで、問題行動は少しずつ減り、子どもは落ちついていきます。
ここで大事な注釈をひとつ。これは「親の愛情が足りない」という意味ではありません。ほとんどの親御さんは、十分すぎるほど子どもを想っています。問題は量ではなく、子ども側に「伝わっているか」「本人がそう感じられているか」です。忙しさや叱る場面の多さで、想いが届きにくくなっているだけ——そういうケースを、教室でも相談室でもたくさん見てきました。
「家ではできるのに学校ではできない」子に起きていること
小学生でも、先生の注意を引くため、あるいは友達の注意を引くために問題行動をする子がいます。そういう子は、多くの場合、心が満たされていません。
根っこにあるのは、「注目されたい」という願望です。たとえば——
- がんばりをなかなか認めてもらえない
- いつも叱られてばかりいる
- 兄弟と比較され、劣等感を抱えている
つまり、行動の奥にあるのは「もっとわたしを見て!」という気持ちなのです。家庭という安心の土台が揺らいでいると、その不足感を学校で埋めようとして、問題行動という形で出ることがあります。「家ではいい子なのに学校で荒れる」の逆パターン——「学校ではがまんして、家で爆発する」——も同じ仕組みです。安心して出せる場所で、サインは出ます。
生まれ持った性格ではなく、環境が影響していることが多い
大切なのは、問題行動の多くがその子が生まれ持った特性ではなく、環境がそうさせているパターンだということです。先天的なものではなく、後天的なもの。だからこそ、周りの関わり方で変えていけます。
一方で、発達特性(注意や衝動のコントロールが苦手など)が行動の背景にある子もいます。この場合、本人は「わざと」やっているわけではないのに叱られ続け、自信を失って行動がさらに荒れる……という悪循環になりがちです。「愛情の問題」と決めつけず、行動の背景を見立てることが出発点。気になる場合は、後述する相談先で一度専門家に見てもらうと安心です。
親が家庭でできる対処法【今日からできる具体策】
① 問題行動そのものに、大きく反応しすぎない
意外に思われるかもしれませんが、これが最初のポイントです。注目されたくて行動している子にとって、叱られることも「注目」というごほうびになってしまいます。大声で叱るほど行動が増える……という悪循環は、教室でもよく起きていました。
危険がない行動なら、騒がず淡々と対応する。そのかわり——
② 「できて当たり前」の瞬間にこそ、注目する
ふつうに座って宿題をしている、弟に優しくできた、朝自分で起きた——そんな「当たり前にできている瞬間」に声をかけます。
- 「お、もう宿題やってるんだ」(見ていることが伝わるだけでいい)
- 「さっき貸してあげてたね」(結果でなく行動を言葉にする)
- 「助かったよ、ありがとう」
「もっと見て!」が行動の目的なら、望ましい行動で注目が得られるようにしてあげるのが、いちばんの近道です。問題行動を叱って減らすより、いい行動に注目して増やすほうが、親子ともに消耗しません。
③ じっくり目を見て、話をひたすら聞く
問題行動が見られるようになったら、アドバイスや説教より先に、まず聞く。じっくり目を見て、話をひたすらに聞いてあげてください。こまめに目配りしてあげてください。「見ているよ」が伝わるだけで、注目欲求は落ちついていきます。
聞くときのコツは、気持ちをそのまま言葉にして返すこと。「そうか、悔しかったんだね」「それは嫌だったね」。正しいかどうかのジャッジは、その後で十分間に合います。
④ 叱るときは「行動」を叱る。「人格」は否定しない
叱ってはいけない、ということではありません。ダメなことはダメと伝える必要があります。ポイントは対象です。
- OK:「叩くのはダメ」「それは危ないからやめて」(行動を指す)
- NG:「あなたはほんとにダメな子ね」「何度言ったらわかるの」(人格・存在を否定する)
人格を否定される経験が積み重なると、「どうせ自分なんて」となり、問題行動はむしろ強まります。行動は叱っても、存在は守る。これが鉄則です。
⑤ 家を「安心していられる場所」にする
問題行動や心の不安定には、家庭環境の影響が大きいものです。子どもの様子が気になったときは、まず「家がその子にとってどんな場所になっているか」を見つめ直しましょう。叱ってばかりになっていないか、きょうだいと比較していないか。
いちばん大切なのは、家がただの建物ではなく、安心していられる場所になること。そのためには、
「辛いときでも黙って受け入れてくれた」
「ずっと信じ続けてくれた」
と、我が子に思ってもらえることです。
たとえば受験前。テストの点が悪いとき、「このままじゃ行ける高校がないぞ」と発奮させようとするより、「大丈夫。〇〇なら大丈夫。」と伝えるだけで、子どもはホッとします。
本当に大丈夫かどうかは別として、こうした小さな積み重ねが「家族は自分の味方でいてくれる」という安心感につながります。
目の前の受験という難関より、生涯続く家族関係のほうがずっと大切です。人生というトータルの視点で見れば、受験の失敗なんて本当に小さなもの。温かくて安心できる家庭が、問題行動をやわらげる一番の土台になります。
学校から連絡が来たときの動き方
「お子さんが学校で……」という連絡は、親にとって本当にしんどいものです。責められている気がして、つい子どもを頭ごなしに叱りたくなります。でも、ここでの動き方で、その後がずいぶん変わります。教員として連絡する側も、カウンセラーとして相談を受ける側も経験した立場から、おすすめの順番はこうです。
- 先生に「どんな場面で起きるか」を具体的に聞く——授業中か休み時間か、相手は決まった子か。場面がわかると原因の見当がつきます
- 家庭での様子を先生に伝える——「家ではこうです」という情報は、先生にとって貴重な手がかりです。学校と家庭で見え方が違う子はたくさんいます
- 「家庭でも気をつけて見ます。学校での様子もまた教えてください」と協力の形にする——先生と親が対立すると、いちばん行き場を失うのは子どもです
- 子どもには尋問ではなく、まず気持ちを聞く——「先生から聞いたよ。何があったの?」と落ち着いて。叱るのは事情を全部聞いてからで遅くありません
学校にはスクールカウンセラーもいます。担任に話しにくいことは、カウンセラー経由で相談する道もあります(利用は無料です)。
思春期の反抗と、心配な問題行動の見分け方
思春期にさしかかって反抗してくるのは、健全な発達の一部です。親から自立していく過程で自然に起こることなので、反抗そのものを問題視しすぎる必要はありません。
気にかけたいのは、反抗の有無よりも「その子が安心できているか」。表情が暗い、以前楽しめていたことを楽しめない、といった変化があるときは、心のサインとして受けとめてあげてください。
こんなときは専門機関に相談を
家庭での関わりを続けても改善が見えないときや、次のようなサインが2週間以上続くときは、無理をせず専門機関に相談しましょう。
- 朝、布団からなかなか起きられない
- 夜中に何度も目が覚める
- 食欲が落ちている
- 以前は楽しめていたことを、楽しめなくなっている
- 自分や人を傷つける行動がある
相談先には、学校のスクールカウンセラー、担任の先生、市区町村の子育て相談窓口、児童相談所(相談は誰でも無料でできます)、小児科・児童精神科などがあります。「相談する=大げさ」ではありません。早めに専門家とつながることが、子どもにとっても親にとっても安心につながります。
よくある質問
Q. 叱ってはいけないのでしょうか?
A. 叱ること自体は必要です。ただし対象は「行動」に絞り、人格の否定(「ダメな子」)は避けましょう。そして叱る回数より、いい行動に注目する回数を増やすほうが、結果的に問題行動は減っていきます。
Q. 愛情不足と言われた気がして、つらいです
A. 足りないのは愛情の「量」ではなく、伝わり方のすれ違いであることがほとんどです。この記事の対処法①〜⑤は、いま持っている愛情を「伝わる形」に変えるための方法です。自分を責める必要はありません。
Q. 発達障害の可能性はありますか?
A. 行動だけで判断はできません。発達特性が背景にある場合、関わり方のコツが変わってくるため、気になるときはスクールカウンセラーや小児科・児童精神科など専門家への相談をおすすめします。「白黒つける」ためではなく「その子に合う関わり方を知る」ための相談です。
まとめ
- 問題行動は、子どもからの「サイン」であることが多い
- 原因の多くは「愛情」と「安全・安心できる場所」の不足感——親の愛情の量の問題ではなく、伝わり方のすれ違い
- 生まれ持った性格ではなく、環境が影響している=関わりで変えられる
- 対処の基本は「問題行動に騒がず、いい行動に注目し、行動は叱っても存在は守る」
- 学校とは対立せず協力の形に。気になるサインが続くときは、早めに専門機関へ
問題行動の裏にある子どもの気持ちに目を向けられると、関わり方はきっと見えてきます。焦らず、一つずつでいきましょう。
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