不登校の小学生の過ごし方に、決まった正解はありません。ただ、みんなが学校にいる平日の日中をどう過ごすかは、子どもの元気の戻り方で変わります。
朝に学校へ電話をしたあと、家にいる子を見て「このままでいいのかな」と思う方は多いはずです。ゲームばかりの日が続くと、親のほうが落ち着かなくなります。
元小学校教員として約20年、いまは公認心理師・スクールカウンセラーとして学校で相談を受けています。家での過ごし方は、休み始めの保護者がまず迷うところです。
私の現場は小学校です。中学生になると事情が変わりますので、小学生の親御さん向けとして読んでください。
不登校の小学生の過ごし方は段階で変わる
家での過ごし方は、休み始めてからの時期ではなく、子どもの元気の戻り方で変えていきます。目安は次の3つの段階です。
| 子どもの様子 | 日中の過ごし方 | 親の役割 |
|---|---|---|
| 休み始め・疲れが見える | 好きなことを好きなだけ | 生活リズムだけ意識して見守る |
| 表情や口数が戻ってきた | 家にいる時間を退屈にする | 家のルールを子どもと相談して決める |
| 「暇だな」「何かしたい」が出た | 誰かとつながる場に出てみる | 習い事や公園など、行き先を提案する |
段階は行ったり来たりします。昨日「暇だな」と言った子が、今日は一日寝ていることもあります。
表の段階は、先に進ませるための目標ではありません。いまのお子さんがどこにいるかを見るための目安として使ってください。
休み始めは好きなことを好きなだけ
休み始めの時期は、やりたいことをやりたいようにさせてあげてください。勉強や登校の準備は、まだ後回しで構いません。
大人に置きかえて考える
仕事や家事がどうしても嫌になったときを、思い浮かべてみてください。「休みグセがつくから行きなさい」と無理やり続けさせられたら、どう感じるでしょうか。
子どもも同じです。大人より強い拒否感をもつかもしれません。
好きなことを好きなだけやって、自分らしさを取り戻す時間が要ります。取り戻せた子のほうが、その後の生活が豊かになると私は考えています。
生活リズムだけは意識する
好きに過ごさせる時期でも、生活リズムはいちばん意識しておきたいところです。起きる時間と寝る時間が大きくずれていないか、親が見ておきます。
ただし、整えようとして家の中が戦いになるなら、優先しなくて構いません。昼夜逆転との付き合い方は不登校の子の夏休みの過ごし方にまとめています。
時間割を決める子もいる
自分から学校と同じ時間割を決めて過ごす子もいます。そうした子は、勉強が比較的できていて、勉強が嫌いではない子が多いです。
勉強がわからないことが理由で休んでいるわけではない子に、この傾向があります。遅れるのが嫌で、自分で時間割を守ろうとします。
時間割で過ごせている子なら、家に先生に来てもらって学習を進めるのも1つの方法です。合う子・合わない子の見分け方は不登校の家庭教師はいつから?向く子・向かない子に書きました。
時間割を決めない子のほうが多いです。親が時間割を作って守らせる必要はありません。
元気が戻ったら退屈な時間をつくる
ある程度元気になってきたら、家にいる時間を退屈にしていきます。退屈な時間から、次への意欲がわいてくるからです。
デジタル機器を離れるのが理想
理想は、日中にゲームや動画を触らない・見ないことです。あくまでも理想で、いきなり取り上げる話ではありません。
動画やゲームは、いくらでも時間を埋めてくれます。時間が埋まっているあいだは、「何かしたい」気持ちが育ちにくくなります。
元気が戻ってきたと感じたら、使う時間を少しずつ減らす方向で考えてみてください。
退屈が次の意欲を生む
やることがない時間が続くと、子どもは自分で何かを探し始めます。だから私は、元気が戻ってきた子には退屈な時間を勧めています。
表情や口数が戻っていない時期に退屈にさせるのは、まだ早いです。元気の戻り具合を見てから、段階を上げてください。
家のルールは子どもと相談して決める
ゲームの時間や起きる時間などのルールは、子どもと相談して決めてください。
親が一方的に決めると衝突する
親が一方的に決めたルールには、子どもの思いが入っていません。「なんでそんなルールなの」「自分はいいって言ってない」と反抗心が芽生えます。
衝突が続くと、部屋に閉じこもったり、親に手が出たりする場合もあります。ルールの中身より、決め方のほうが大事です。
落とし所は折衷案
理想は、親の思いと子どもの思いの折衷案です。互いに歩み寄ったところが、家のルールの落とし所になります。
| 一方的な言い方 | 相談する言い方 |
|---|---|
| ゲームは1日1時間まで | ゲームの時間、どのくらいなら守れそう? |
| 朝は7時に起きなさい | 朝は何時ごろ起きるのがいいと思う? |
| 昼間は動画禁止 | 昼ごはんまでは動画をお休みにしてみない? |
子どもが出してきた案が親の思いより甘くても、まずはそこから始めて構いません。守れなかったときも、叱らずにもう一度相談し直します。
「暇だな」と言ったら外とつなぐ
休んでいる子が「暇だな」「何かしたいな」と言ったら、背中を押すタイミングです。何かしたい意欲が芽生え始めています。
誰かとつながる場を提案する
「暇だな」が出たら、誰かとつながる機会を提案してみてください。
「習い事いく?」「公園で友達と遊んできたら?」くらいの軽い声かけで十分です。行き先は学校でなくて構いません。
不登校でいちばん心配なのは、家から出られなくなることです。家族以外の人と話せる場が1つあるだけで、お子さんの支えになります。学校以外の行き先を考えるときは不登校でも習い事には行ける?も参考にしてください。
言わないうちは様子を見る
「暇だな」がまだ出ないなら、様子を見る時期だと私は考えています。親から先に予定を入れる必要はありません。
焦らずに、お子さんの様子を観察し続けてください。言葉が出るまでの期間は子どもによって違います。
日中の様子を担任と共有する
家での過ごし方に迷ったら、まず担任に学校での様子を聞いてみてください。家で見えている姿は、お子さんの一部にすぎません。
「休む前、学校で変わった様子はありませんでしたか」と聞いてみます。あわせて「家では昼間こんなふうに過ごしています」と伝えると、担任も次の手を考えやすくなります。
(責める・問い詰める形にならないよう、あくまでも近況の報告として。)連絡が途切れると、学校側も「誰がこの子を支えているのか」と不安になります。
日中に子どもと家にいる時間が長いと、親のほうが疲れていきます。働き方に迷っている方は不登校で親は仕事を辞めるべき?を、親自身の限界サインは不登校の親が「しんどい」と感じたらを読んでみてください。
受診を考えるサイン
次の4つが2週間ほど続くときは、家で過ごすだけでは足りないかもしれません。
- 朝、布団から起きられない
- 夜中に何度も目が覚める
- 食欲が落ちている
- 前は楽しめたことを楽しめない
小児科やスクールカウンセラーに相談してください。いじめが疑われる場合は、2週間を待たずに学校へ相談してください。
よくある質問
Q. 一日中ゲームをしていても大丈夫ですか
休み始めの時期なら、大丈夫だと思います。好きなことで自分らしさを取り戻している最中かもしれません。
表情や口数が戻ってきたら、使う時間を子どもと相談して減らしていきます。いきなり取り上げるのは勧めません。
Q. 昼間に勉強はさせたほうがいいですか
休み始めは、させなくて構いません。自分から時間割を決めて勉強する子は、そのまま見守ってください。
元気が戻ってから始める勉強の順番は不登校の勉強の遅れ、どこから取り戻す?にまとめています。
Q. 昼間に外へ出してもいいですか
本人が出たいと言うなら、出ていいと思います。「学校を休んでいるのに公園なんて」と止めると、回復のきっかけを減らしてしまうかもしれません。
同級生やその保護者に会うのを嫌がる子もいます。行き先と時間帯は、本人と相談して決めてください。
Q. 共働きで、日中は子どもがひとりです
ひとりの時間があること自体を、自分のせいだと責めなくて大丈夫です。昼休みに電話を1本入れるなど、つながる時間を決めておくと子どもは安心します。
担任にも「日中はひとりで過ごしています」と伝えておくと、学校側も様子を気にかけやすくなります。
Q. 「暇だな」と言うのに、何を勧めても嫌がります
意欲が出始めたばかりの時期には、よくあることです。勧めた行き先が本人の気持ちと合っていないのかもしれません。
「何ならしてみたい?」と本人に聞いてみてください。答えが出なければ、もう少し様子を見て構いません。
まとめ
- 不登校の小学生の過ごし方は、元気の戻り方で3段階に変わる
- 休み始めは好きなことを好きなだけ。生活リズムだけ意識する
- 元気が戻ったら退屈な時間をつくる。退屈から次の意欲がわく
- 家のルールは子どもと相談して決める
- 「暇だな」が出たら、誰かとつながる場を提案する
今日できる一歩は、お子さんがいまどの段階にいるかを見てみることです。迷ったら、担任に「家では昼間こんなふうに過ごしています」と伝えてみてください。
家でゆっくり過ごしている時間は、無駄な時間ではありません。お子さんが元気を取り戻すために必要な時間です。











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