小学生が宿題をやらないと、毎晩イライラしてしまう。そんなときは、宿題の間違いを直す役を家から外すと楽になります。家では親がほめて、直すのは担任にまかせる。私はこの分け方を勧めています。
音読、漢字ドリル、計算プリント。夕ごはんのあとに始めて、気づけば親子で怒鳴り合いになっている。寝顔を見ながら「また怒ってしまった」と落ち込む方は少なくありません。
元小学校教員として約20年、いまは公認心理師・スクールカウンセラーとして学校で相談を受けています。担任のころは、毎日宿題を出して丸をつける側にいました。
小学生が宿題をやらない夜の見分け表
宿題をやらない理由は、子どもの様子によって分かれます。まずは次の表で、お子さんに近い行を探してください。
| 子どもの様子 | 考えられること | 親がすること |
|---|---|---|
| 「めんどくさい」と言うが、始めればできる | 取りかかりが苦手 | 始めたことをほめる |
| 教えても、次の日には忘れている | 努力だけでは難しいのかもしれない | 担任に授業中の様子を聞く |
| 「やった」と嘘をつく | 怒られたくない・量が多すぎる | 責める前に担任と量を相談する |
| 泣く・怒るが毎晩30分以上続く | 家での宿題が親子ともに限界 | 間違い直しを家でやめる |
| 朝の行き渋りや元気のなさもある | 学校生活そのものがしんどい | 宿題より先に学校での様子を聞く |
どの行でも、最初の一手は担任に様子を聞くことです。家で見えている宿題の姿は、お子さんの一部にすぎません。
担任をしていたころ、宿題をめぐって子どもからよく聞いたのは「めんどくさい」「やりたくない」でした。「やった」と嘘をつく子もいました。どれも、宿題がうまく回っていない合図として受け取っていました。
まず「何のため」を考える
毎晩疲れ切ってまで宿題をやらせているなら、理由を1つだけ確かめてください。子どものためなのか、親としての責任感なのか。どちらかで、次の動き方が変わります。
子どものためになっているか
子どものためだと思うなら、その宿題が本当に力になっているかを見てください。昨日教えたことを、今日はもう忘れている。毎日が振り出しに戻る。そんな日が続くなら、努力だけでは難しいのかもしれません。
できないまま毎晩やり直すことは、子どもにとって「できない自分」を毎晩確かめる時間にもなります。
親の責任感になっていないか
「宿題をやらせるのは親の務め」と感じている方は多いです。ただ、その責任感で親子とも疲れ切っているなら、子どもは一緒に勉強するのが嫌になっていきます。
子どもは、親に認めてもらいたいと思っています。それなのに、できたところより小さな間違いばかり直されると、机に向かう気持ちは減っていきます。
親はほめる、直すのは担任
家と学校で役目を分けると、宿題の時間は落ち着きやすくなります。親はほめる役、間違いを直すのは担任の役です。私はこの分け方のほうが、子どもが素直に取り組めると考えています。
間違い直しを家でしない
間違いを見つけても、家では直させなくて大丈夫です。担任は丸つけをしながら、クラスの子がどこでつまずいているかを見ています。家で全部直して出すと、担任からはつまずきが見えなくなります。
(親として気になるのは自然なことです。気になった間違いは、直させるかわりにメモしておいて担任に伝えてください。)
ほめるのはできたところ
ほめる場所は、結果より取りかかったことです。次のような声かけなら、今夜からそのまま使えます。
- 「座ったね。今日は自分から始められたね」
- 「この字、先週よりていねいになってる」
- 「ここまでで十分。あとは先生に見てもらおう」
「全部終わったらほめる」にすると、終わらない日はほめられない日になります。始めた、1問解けた、の段階で声をかけてください。
担任への伝え方
連絡帳や面談で、家での様子をそのまま伝えてください。担任は、家で宿題にどれだけ時間がかかっているかを知らないことが多いです。
- 「宿題に毎晩1時間ほどかかっていて、親子で言い合いになっています」
- 「家では間違い直しをしないことにしました。学校で見ていただけますか」
- 「授業中、わからなくて困っている様子はありませんか?」
(責める形にならないよう、あくまでも家の様子の共有として。)担任によっては、量や出し方を相談にのってもらえるかもしれません。
毎日振り出しに戻る子
教えても次の日に忘れてしまう子は、やる気の問題ではないかもしれません。家で繰り返し教えるより、学校の見立てを先に聞いてください。
努力だけでは難しいことがある
家でがんばっても、なかなか定着しない子はいます。覚え方や学び方がその子に合っていないと、量を増やしても身につきにくいことがあります。
「うちの子は努力が足りない」と決める前に、授業のどこでつまずいているかを担任に聞いてみてください。つまずいた単元がわかれば、復習する場所も絞れます。
担任とSCに相談する
授業でも同じつまずきが続いているなら、スクールカウンセラーにも相談できます。学び方の特徴について相談すると、家でできる工夫が見つかることがあります。
必要に応じて、小児科や専門の相談機関を紹介してもらえることもあります。家だけで答えを出さなくて大丈夫です。
「やった」と嘘をつくとき
宿題で嘘をつかれると、親はショックを受けます。ただ、嘘を責めるより先に、嘘をつくしかなかった理由を考えてください。
嘘を責める前に量を見る
「やった」の嘘の裏には、怒られたくない気持ちがあるのかもしれません。わからない問題がたまって、手をつけられなくなっていることもあります。
問い詰めると、子どもは次からもっと上手に隠そうとします。「一緒に先生に相談しよう」と声をかけて、担任と量を見直すほうが先です。
親がもう限界のとき
毎晩の言い合いで親が疲れ切っているなら、宿題より親の負担を減らすことを先に考えてください。怒ってしまう自分を責め続けるほど、次の夜はもっとつらくなります。
「今日は宿題はここまで」と親が先に切り上げる日があってもいいのです。宿題が1日できなくても、担任に一言伝えておけば大きな問題にはなりにくいです。
朝の行き渋りや登校しぶりも重なって、気持ちが追いつかない方もいると思います。疲れが限界に近いかどうかは、親が「しんどい」「もう疲れた」と感じたらの限界サインで確かめてみてください。
よくある質問
Q. 宿題をやらせないと、勉強しない子になりませんか
やらせないのではなく、直す役を担任に分けるだけです。家で取りかかる習慣は残ります。
毎晩の言い合いで勉強そのものが嫌いになるほうが、あとに響くと私は考えています。
Q. 担任に「宿題が多い」と言っていいですか
言っていいと思います。「多い」と言うより「毎晩1時間かかっています」と家の様子で伝えるほうが、担任も考えやすくなります。
量の調整ができるかどうかは学校によります。まずは様子を伝えて、相談の形にしてください。
Q. 夫が宿題で厳しく叱ってしまいます
夫婦で考え方が違うのは自然なことです。「家ではほめる、直すのは先生」の分け方を、まず夫婦でそろえてみてください。
話し合いがうまく進まないときは、スクールカウンセラーに間に入ってもらう方法もあります。
Q. 家で教えるのがもうつらいです
家で教える役を、第三者に依頼するのも1つの方法です。親が見なくていい子の見分け方と頼み先は、子供の宿題を見るのが苦痛なときにまとめました。
まとめ
- 小学生が宿題をやらないときは、まず担任に様子を聞く
- やらせる前に、何のためにやらせているのかを確かめる
- 家では親はほめる、直すのは担任と役目を分ける
- 毎日振り出しに戻る子は、努力だけでは難しいのかもしれない
- 親が限界なら、宿題より親の負担を先に減らす
今夜できる一歩は、間違いを直さずに「今日は自分から始められたね」と言ってみることです。
毎晩の宿題に向き合ってきたこと自体が、お子さんを大事にしてきた証です。直す役を担任と分ければ、宿題の時間はもう少し穏やかなものにできます。











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